ニュ-ヨ-ク・ヘラルド・トリビュ-ンの記事

●1938年2月13日        

   2月12日、東京発(AP)      

   以下は、在華米国権益侵害に関する抗議に対して

   広田弘毅外相からジョセフ・C・グル-

   米国大使に手交された通牒全文である。        

 「・・・・・南京では様々な事件が判明した。

 事件は、警察任務一般はもちろん、

 第三国権益の保護任務に当たるべき

 勢力が不可避的に不十分であること、

 さらに軍の前線への移動および

 部隊の交代が頻繁であり、

 かつ市内残存の敗退中国軍および

 中国人不法分子掃討作戦のために

 治安維持力が不十分であることからくる、

 市内管理の不適切に起因するものである。      

 このため日本政府は、すべての関連当局に

 上述の訓令を理解させるため、

 1月15日および1月20日に再度厳命を下した。

 また他方、軍最高首脳は特別の関心をもって

 該事件の満足いく解決のため全力を尽さんと欲し、

 現地当局に対して全ての事件につき

 出来るだけ迅速、明確に事実を究明し、

 責任者を軍法に照らして適切に処置し、

 損害賠償を行うように命じた。

 若干の点に関してなお調査を要するので、

 外務省当局および現地軍当局は

 目下各事件について事実究明のため努力中である。

 損失、損害の賠償については、

 本政府の意向はこれらの事件を

 出来るだけ現地で解決することであり、

 その目的のために現地当局は、

 同地米当局と密接に接触を維持してきている。」