南京事件

国際安全区の日本人牧師
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最終更新日:2018/06/30 11:52

前回の安全区にいた外国人の一覧の中に「S.安村」と言う名前があります。

安村三郎で日本のYMCA(日本基督教青年会同盟)から南京に派遣されていました。

日中戦争が始まると日本基督教連盟は日本政府の立場を支持し

「事態の推移に応じ、我が国基督教会の立場を有利に導く為に善処すべく、

各種の事業に専念する事」になりました。

各種の事業とは、

1.精神報国運動 

2.皇軍慰問事業 

3.文化工作並びに宣撫事業 

戦争の拡大に伴って日本軍に対する批判が高まってきたため、

日本の基督教会では、中国の宣教師に日本の立場を説得し「善処」することや、

日本軍と外国宣教師の仲介者になることに使命感を抱きました。

●奈良伝(つたえ) 神戸基督教青年会総主事 奈良伝「千里の道」から      

・・・・当時日本派遣軍、殊に現地軍隊と、在中国の米国宣教師との間に起こったトラブルは、

外交路線を通じて次々に抗議せられ、その件数だけでも350余にのぼり、

軍部のほうでも実際には手を焼いていたらしい。

外務省アメリカ局や参謀本部第二部アメリカ班の幹部らも、

アメリカとの開戦は絶対に避けたいと本気で考えていた・・・・

その流れで安村が派遣されたのです。

安村は1938年12月から39年2月まで派遣され南京国際救済委員会の委員になりました。

外務省に提出された報告書では「南京特務機関出仕/軍嘱託」になっています。 

国際委員会では安村が日本の外務省や特務機関と関係があることは知らず、

YMCAから派遣されたと信じて委員にくわえたと思われます。 

安村の南京での行動はよく分かりませんが、同じ安全区委員の僅かな記録から見てみます。

●スチュワ-ド 日記 12月14日 

日本のYMCAから来た1人の日本人牧師が、

国際救済委員会問題が解決するようにと連絡をつけるのに役立ってくれている。

適切な政治的でない市民が見つかるなら、

日本人と中国人を委員に加えるという委員会の前向きな姿勢、この空気を一掃するだろう。

・・・・現在の委員は全て米国人あるいはドイツ人だ。   

●ヴォ-トリン 日記 12月16日     

国際救済委員会の困難が現在逐次解決されつつあり、非常に多くの誤解もまた現在解消しつつある

・・・・安村牧師は、国際救済委員会が困ったとき、その解決を非常によく助けてくれた。   

●ヴォ-トリン 日記 1939年1月24日     

(安村は)軍と公式な関係はないが

事を進めるには必ず彼らの許可を得なければならない          

注:安村が軍と深い関係にあったことを感じとっています。 

 

安村と偶然首都飯店で会った麻生徹男(南京第14兵站病院勤務)の記録があります。

●麻生徹男   「上海から上海へ」より     

・・・・聞く所によると、その御来訪の目的は広田外相の特別な要請に基く

極めて重大な一件であるとのこと・・・それは南京陥落に際して発生したという、

日本軍人の中国民衆に対して行なった、所謂、南京暴行事件に際し、

当時現地の南京安全区国際委員会ルイス博士やマギ-牧師との懇談であった。

このことは南京暴行事件の一つとして挙げられている投降中国兵の無差別大量殺戮事件とは別個の、

中国良民婦女子に対する日本兵の暴行事件であり、

これらの暴行は国際的衆人環視の中にて行なわれたるもの

これらの被害者は被害者としても、これを目撃した子供達への影響は誠に重大なものがある、

と云うのがルイス博士やマギ-牧師の意見であった。

当時アメリカ国旗のもと金陵大学は難民の保護収容所であったので、

日本政府としても、安村牧師に日本YMCAの肩書きを被せて、

米国、ひいては中国に開けた窓として、何かの償いの道を講ぜんとしたのである・・・

 

南京事件の少し後になりますが、日本のキリスト教関係の動きを書きます。

1941年に入ると日本基督教連盟の諸教派合同運動が始まり「皇紀2600年奉祝全国基督教信徒大会」が開かれ、

6月には日本基督教団が合同教会として生まれました。

●日本基督教団の規則第一章「本教団の生活綱領一」(原文カナ)      

皇国の道に従いて信仰に徹し各その分を尽くして皇運を扶翼し奉るべし・・・・

1944年には「大東亜共栄圏に在る基督教者に送る書簡」が発表されました。

●・・・・日本は大東亜諸民族一大解放の戦いを行なっている・・・・

 サタンの狂暴(米英の不正・不義)を滅ぼす進軍の角笛は高らかに吹き鳴らされた。

 大東亜の基督教徒は、互いに扶け、互いに尊重し、互いに愛し

 正義と共栄の美しい国土を東亜の天地に建設することによって

 神の国をさながら地上に出現せしむることは、

 われら基督者にしてこの東亜に生を享けし者の衷心の祈念であり、最高の義務であると信ずる。

 

 

 

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