不眠の訴えと睡眠薬

高齢者では不眠の訴えが多くなるようです。

それを反映してか睡眠薬や

眠れる健康食品が出回っています。

不眠に関しては言葉の整理が必要です。

不眠は「寝つきが悪い、途中で目ざめる、

早朝目が覚める」等、

自分が睡眠に満足していないという

主観的な訴えです。

睡眠不足と異なります

今回は不眠の訴えに関して書きます。

実際には不眠を訴える人

(寝付くまでの時間が30~40分)は

睡眠が足りているのです。

足りているから眠れないと感じるのです。

睡眠時間が短いからと言って

睡眠不足ではないのです。

逆に不眠を全然感じない人

(寝付くまでの時間が5~10分)は

日常的に睡眠が不足しているといえます。

しかし不眠は健康に悪いと信じられ、

睡眠薬を使っても睡眠を確保したいと

薬に頼っているのが現実だと思います。

 

アメリカでの30歳以上の100万人以上の

5年間調査があります。

そこでの調査結果を要点だけ述べます。

 ●睡眠時間 7.5~8.4時間が1番多い

        6.5~7.4時間が2番目に多い

 ●7時間程度の睡眠が最も長生き

 ●不眠を訴えない人 女性の約50%、男性の70%

 ●死亡の危険度(少ないほうが長生きする)

  月に1回の不眠の訴え 女性で19%少なくなる

              男性で13%少なくなる

  2回から10回、及び不明の訴えで

  全て危険度は少なくなっています。

 

このアメリカの調査では睡眠薬との

関係も調べられています。

 ●睡眠薬を飲まない人 死亡危険度は変わらない

 ●睡眠薬を毎日飲む人 死亡危険度 女性で24%上昇

                   男性で25%上昇

睡眠薬の使用は他の病気にも関係あるのか?

プラセボ(偽薬)と比較したランダム比較試験があります。

 ●うつ病の発生率      2.1倍

  ベンゾジアゼピン系に限ると 2.4倍

 ●感染症   44%上昇

 ●がんの発生 35%増加

日本での死因第一位はがんですから、

これが35%増えるということは大変なことです。

こう考えると月に数回不眠を感じても、

無理に薬やいわゆる健康食品に

頼らない生活を送ることが、

健康で長生きをする秘訣かもしれませんね。