コレステロ-ル・2

2007年7月に書きました

 

今年4月から40歳~74歳を対象に

「特定検診・特定保健指導」が始まりました。

これまでの検査項目にあった

総コレステロ-ル値はなくなり、

代わりにHDLコレステロ-ル(通称善玉コレステロ-ル)が

加わりました。

 

しかし、一般のドック、成人病検診・・・・等の

健康診断では相変わらず

総コレステロ-ルが出てきますし、

それこそ長い間、総コレステロールの数字が

判断基準として皆さんの生活に浸透しているはずです。

そこで再度、コレステロ-ルの話をします。

 

数値は血液1dl中のコレステロ-ルを

㎎で表したものです。㎎は略します。

現在は130から220を正常としています。

130より少ない人は、

前回話したコレステロ-ルの大切さを考えると

身体には良い事ではありません。

これより多い人はどうでしょうか?

220を超えるとすぐにコレステロ-ル低下剤を

処方される事があります。

では220と言う基準が妥当かどうかです

(ちなみに欧米は240)。

この基準は「日本動脈硬化学会」が決めたものです。

あくまでも動脈硬化を予防するための基準です。

 

学会では1997年に見直しの検討をしました。

 

見直しの理由

◎人口10万人当たりの冠動脈疾患死亡数、

 米国197、英国288、日本42・・・と

 日本が極端に少ない事

◎それでも欧米では最高数値を240としている

◎日本でも基準を240にすれば

 45~50%の人が患者ではなくなり

 薬の必要がなくなる

 

しかしながら変更されず従来のままとなりました。

それでは欧米では何故240と

いうことにしているのでしょうか?

実はコレステロ-ルを低く抑えると

冠動脈疾患は減りますが、

それ以外の病気が増える可能性があるからなのです。

 

前回の説明で身体にとって

コレステロ-ルの重要性を説明しましたが、

その通りで日本の今の基準は低すぎるのです。

ちなみに少しコレステロ-ル高いほうが

ガンが少なく、長生きをするという研究もあります。

 

◎1997年、大阪八尾市の成人病センターの

 1万人の11年の追跡調査

長生きしたのは、240~280

ガンが少ないのは、280

 

◎1980年、国民栄養調査の

 1万人の14年間の追跡調査

  死亡の危険が最も少ないのは、240~260

 

現実の日本人のコレステロール数字を、

平成12年度の「第5次循環器疾患基礎調査」

(10年ごとの調査)で見ると、

40代男性の32%、50代女性の45%が

高脂血症になってしまいます。

世界でも有数な長寿国の中年が半分近く

病気だというのは変な話で、

基準が低すぎるからです。

また年齢や性別によって

コレステロ-ルの適正値は異なります。

世間にコレステロ-ルは

高めが良いということが言われ始めたため、

困った国は検査項目を総コレステロ-ルから、

分かりづらい善玉と悪玉に

分けたとも思いたくなります。

 

前回も書きましたが、

卵やイクラ等にコレステロ-ルが多いのは、

発生・発達に必要だからです。

それを考えると妊婦や妊娠の可能性のある人は

コレステロ-ルをあまり下げない方が

良いかもしれません。

 

参考までにコレステロ-ル低下剤は

年間3000億円前後の市場であり、

基準値の最高を260にすると

患者は今の1/4になり、

300にすると1/25になると言われています。