インフルエンザと解熱剤

2009年4月に書きました

 

前回の続きです。

私たちはウイルスや細菌等微生物に

感染したとき発熱します。

インフルエンザでも同じことです。

微生物は熱に弱いため(普段でも加熱消毒します)

私たちの身体は感染すると

防衛として脳が発熱指令を出します

急に発熱をさせるため、

身体は寒くてゾクゾクし震えがきます。

(震えることで熱を作ります)

 

このことはとても大事なことで、

身体が正常で元気な証拠で、

病気と闘うための発熱はむしろ大事なことです。

発熱することで微生物が増殖することを抑え、

免疫機能が働くのを待つのです。

もし発熱しなかったらどうなのでしょうか?

微生物は安心してドンドン増えます。

免疫が働き始めたとき

敵の微生物は物凄い数になっています。

 

実は私たちは異物(微生物・ガン)から

身体を守るため炎症反応や免疫反応が起きます。

それらの反応を促進するために、

インタ-フェロン、インタ-ロイキン、

腫瘍壊死因子などを自ら作り出します。

それらを総称してサイトカインといいます。

そのサイトカインが体温を高く設定し

微生物と闘うのです。

 

もし、解熱剤を使って熱を下げた場合

微生物がどんどん増えますので、

サイトカインも闘うためにどんどん増産されます。

一見よさそうなのですが、

増えすぎたサイトカインは自分自身の細胞を

破壊する可能性があると思われます。

腎臓の細胞を攻撃すると腎出血、

脳の細胞を攻撃すると脳症になる可能性が疑われます。

インフルエンザでの脳症ということがよく言われますが、

インフルエンザで脳症になる確率は、

非ステロイド抗炎症解熱剤を

使った場合は14倍以上になります。

(厚生省インフルエンザ脳炎・脳症研究班 

1999年・2000年)

また動物実験では解熱剤を使用した方が

脳症の確率が高くなっています。

(重篤な後遺症をもたらす原因不明の急性脳症と

薬剤の関係に関する調査研究・1997年)

 

解熱剤をあまり使用しない西欧諸国に

脳症が少なく、多用している台湾や日本に

多いのはそのせいかもしれません。

熱だけでなく痛みがある場合のみ

軽い鎮痛解熱剤のアセトアミノフェンを使って

なるべく熱を下げないようにした方がよいと思います。

 

よく汗をかくと風が治ると言いますが、

熱を下げたから汗をかいて治るのではありません。

治るから熱が下がって汗が出るのです。

 

ちなみにタミフルを使用して

脳症が防げるかということですが、

これも厚生労働省研究班の報告によれば、

タミフルと脳症は関係ないことが分かりました。

(タミフルに関する厚労省研究班・2006年10月)

逆にタミフルで熱を下げると

サイトカインが増えすぎて危険なのです。