福島の事故の経緯

今回の福島第一発電所については、当時の野田首相が2011年12月12日に「収束宣言」を出しました。

しかしとんでもない話で一切細収束していません。

事故が単に一段落しただけで、まだまだ続いていることは国民の知るところです。

 

「停止した原発」

今回の地震と津波で非常停止やその後のトラブルに見舞われたのは福島の第一原発だけではありません。

東北電力では宮城県の女川原発が3基、

東京電力では福島第一原発が6基、第二原発が4基、

茨城県の日本原子力発電・東海第二原発が1基

以上の合計14基が被害を受けました。

もともと福島第一原発では3基(4・5・6号機)が定期点検で停止していたため地震・津波で停止したのは11基です。

福島以外では茨城の東海第二原発が外部電源喪失や非常用発電機のトラブルで一時綱渡り状態になりましたが、

福島の事故に隠れてあまり騒がれていません。

 

「爆発」

福島第一原発では6基ある内の1号機から4号機の4台で爆発を起こしました。

1号機、3号機、4号機は水素爆発(4号機は3号機から回った水素が原因とされる)ですが、2号機の爆発はまだ原因が分からないとしています。

いずれにしても4基が爆発して大量の放射性物質を放出した事は間違いありません。

又3号機では爆発の状況から水素爆発ではなく核爆発であるという説もあります。

事故原因はこれから数十年(?)かかって廃炉作業をしてみないと正確にはわからないでしょう。

事故の経過について簡単に説明したいと思いますが、いくつもある事故調査委員会の調査も全て推測です。

ここでは一応「原子力資料調査室」発行の市民年鑑を参考にします。

 

「1号機」

●14時46分 「地震加速度大トリップ」を起こし原子炉が自動停止

●14時47分 地震による送電鉄塔倒壊等で外部電源が喪失した

  MSIV(主蒸気隔離弁)自動閉止

  非常用ディ-ゼル発電機2台(1A,1B)が自動運転開始し、非常用系統への電気供給が回復

  MSIVが閉止して原子炉の圧力が上昇したため、IC(非常用復水器)が2台自動運転開始

  目的はICで蒸気を抜いて、冷やして再度原子炉に送り圧力を下げる

●15時03分頃 原子炉の圧力が急激に下がるのは危険と判断して、2台のICの戻り水の弁を閉じた

 注:この作業が適切であったのかどうか問題になっているところです。

●15時37分頃までに 津波により2台の非常用ディ-ゼル発電機が停止、全電源喪失

 注:2013年5月10日、東電は非常用ディ-ゼル発電機作動のデ-タ-を始めて公表しました。

  これによると15時36~37分に止まった事が記録されています。

  国会事故調査委員会の報告書では沖合い1.5キロの波高計で15時35分津波が観測さでした。

    陸地に到着し、海抜10mの発電機に到達するのはかなり時間がかかるため

  37分にはまだ津波が到着せず、

  津波の前に地震で発電機が壊れた可能性が指摘されました。

●17時30分までに ディ-ゼル駆動の消火ポンプを利用して、原子炉に注水する準備がされたが、

 原子炉の圧力が高すぎたため使用できなかった

●23時50分頃 格納容器のドライウェル側の圧力が600kPaに達し、なお上昇気配だったため、   

 格納容器からガスや水蒸気を逃がすベント作業の準備に入った。   

 この頃原子炉の水位が有効燃料頂部+500ミリまで低下している事を発見

●12日14時30分頃 蒸気放出で格納容器の圧力が低下し始める

●15時30分 水素爆発

 

「2号機」

●14時47分 「地震加速度大トリップ」を起こし原子炉が自動停止 

 地震による送電鉄塔倒壊等で外部電源が喪失した 

 MSIV(主蒸気隔離弁)自動閉止   

 非常用ディ-ゼル発電機2台(2A,2B)が自動運転開始した

●14時50分  RCIC(原子炉隔離時冷却系)を手動起動、水位の上昇下降の変動が激しく起動停止を繰り返す

●15時30分過  津波により全電源喪失

●14日13時18分 水位の低下が始まる

●17時30分から 格納容器からのベントを準備したが上手く行かなかった

●15日6時ころ 4号機附近で爆発音がし、2号炉のS/C(圧力抑制室)の圧力が0になり、ドライウェルの圧力も低下した。

 爆発により圧力が低下したものと思われるがわかっていない。

 

「3号機」

●14時47分 「地震加速度大トリップ」を起こし原子炉が自動停止

●14時48分頃 外部電源が喪失したため、MSIV(主蒸気隔離弁)自動閉止、非常用ディ-ゼル発電機2台(3A,3B)が自動運転開始した

●15時38分 津波により非常用ディ-ゼル発電機が停止 

 バッテリ-が水をかぶらなかったため、RCIC(原子炉隔離時冷却系)やHPCI(高圧炉心注水系)は使用可能だった。

●12日12時35分 原子炉水位が下がったためHPCI(高圧炉心注水系)が作動開始

●13日2時42分 バッテリ-切でHPCI(高圧炉心注水系)停止

●その後 水位の低下が進み、手作業でSRV(主蒸気逃し弁)操作したりホウ酸水や海水を注入した

●14日6時ころ S/C(圧力抑制室)からベントをして圧力を下げた

●11時1分  原子炉建屋で大規模な水素爆発発生

 

「4号機」

●15日6時 水素爆発 東電では3号機から発生した水素ガスが共有の排気筒から4号機に流れたと説明している

 

「今後早急に解明しなければならない事」

メルトダウンした燃料は冷やし続けることしか出来ません。

解体して取り出すには100年くらいかかるかもしれません。

もしかしたら無理かもしれません。

当面危険なのは4号機のプ-ルで保管冷却されている使用済み燃料です。