関東地区で白血球の減少

東京小平市の三田医院では福島の事故以降、2011年10月頃から、

首都圏の子どもや大人延べ1,500人に血液検査や甲状腺エコ-検査をしています。

血液検査の中で白血球分画検査を中心にしています。

白血球には「好中球」「好酸球」「好塩基球」「単球」「リンパ球」とあり、

その5種類の割合を調べる検査のことを白血球分画検査といいます。

盲腸などの炎症があった場合よく白血球検査をして、数が多ければ炎症があるといわれます。

これは白血球の中の好中球の数が目安になります。

白血球の中の約55~60%が好中球で、

役割としては体内に細菌やカビ等が侵入した時に取り込んで殺菌する役目があります。

と言うことは身体の丈夫さや免疫にも関係があります。

三田医院の三田茂院長によると好中球の数が事故以来少なくなっていて、

小学生の平均値が1マイクログラム当り2,500個くらいに下がっているようです。

放射線が造血機能に障害を与え白血病になる事は有名ですが、

細かく言うと放射線の影響で好中球が減る事が原因となります。

その場合1,000個以下に減る事が多いので、

平均2,500くらいでは大きな症状は出ないと思われますが病気になりやすくなる傾向は出るはずです。

そして福島の事故以降下がってきている事は明らかに放射線の影響と思われます。

 

●まず血液中の成分、つまり白血球、赤血球、血小板どの様に出来るのかの図です。

 多くの生物学や生理学の本にある図です。

 

SCN_0082

 

 

図を良く見ると、全ての血液成分は骨髄の造血幹細胞からスタ-トして途中で分かれて各血液成分になります。

つまり血液の元は造血幹細胞だということです。

放射線が造血幹細胞に影響を与えれば全ての血液成分に影響を与えます。

好中球だけの問題ではなく、好中球はあくまで目安です。

どの様な影響が出るかは分かりませんので注意深く観察する必要があると思います。

 

●次に白血球の種類と比率、数をみます。

  白血球分画の数を表にしました。

  生理学の教科書からまとめました

名称

比率

μl(マイクロリットル)当りの数

好中球

55%

4,000~7190個

好酸球

3%

20~680個

好塩基球

0.5%

0~10個

単球

5%

230~770個

リンパ球

36.5%

2,600~4,660個

 

●好中球の異常で多く見られる症状

 好中球増加 60%以上  7,500個/μl

  感染症(肺炎、敗血症など)

血液疾患(骨髄性白血病など)

  悪性腫瘍

  膠原病(慢性関節リュ-マチなど)

  その他

 好中球減少 40%以下  1,000個/μl

  血液疾患(再生不良性貧血、急性白血病など)

  感染症(粟粒結核、チフスなど)

  内分泌疾患(バセドウ病など)

  薬剤の副作用

  放射線障害

繰り返しますが、好中球が減少していることは明らかに放射線の影響と思われます。

減り方から言って急性障害は現れないでしょうが、色々な病気に罹りやすくなる傾向は出ますので、

関東地方でも事故後放射線量が高かった場所は定期検診するべきでしょう。