原子力基本法

日本の原子力政策の基本になるものです。

原子力の憲法のような存在です。

ですからいくら脱原発の運動をしても国策として「原子力基本法」ある限り推進を続けます。

国家は法律によって運営されていますから、この基本法を改正しない限り脱原発は無理なことなのです。

基本法が出来たのは昭和30年(1955年)12月19日です。

それ以降必要に応じた改正が行なわれました。

現在は平成16年(2004年)12月3日に改正されたものが通用されています。

しかし福島の原発事故を受けて少し部分改正が行なわれました。

「原子力安全委員会」と「保安院」を統合して「原子力規制庁」が出来た際に、

規制庁の設置法案の付則で基本法の一部が変更になりました。

目立ちませんが重要な変更です。

 

●従来の基本法を見てみます。

第1章         総則

 第1条(目的)

この法律は、原子力の研究、開発及び利用を推進することによって、将来におけるエネルギ-資源を確保し、

学術の進歩と産業の振興を図り、もって人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与することを目的とする。

 第2条(基本方針)

原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、

自主的にこれを行なうものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。

 第3条(定義)  省略

第2章 原子力委員会及び原子力安全委員会

 第4条(設置)

原子力の研究及び利用に関する国の施策を計画的に遂行し、原子力行政の民主的な運営を図るため、

内閣府に原子力委員会及び原子力安全委員会を置く。

 第5条(任務) 省略

 第6条(組織、運営及び権限)省略

第3章 原子力の開発機構 省略

第4章 原子力に関する鉱物の開発取得

 第8条~第10条 省略

 第11条(奨励金)

政府は、核原料物質の開発に寄与する者に対し、予算の範囲内において奨励金又は賞金を交付することができる。

(注:第19条にも特許に関して同様なことが書かれています)

第9章 補償

 第21条(補償)

政府又は政府の指定する者は、この法律及びこの法律を施行する法律に基き、核原料物質の開発のためその権限を行なう場合において、

土地に関する権利、鉱業権又は租借権その他の権利に関し、権利者及び関係者に損失を与えた場合においては、

それぞれ法律で定めるところにより、正当な補償を行なわなければならない。

            以下省略

 

原子力基本法の第2条基本方針のところに黄色の線をひきました。

原子力規制委員会設置法案ではこの部分に1項目増やしました。

増えた項目

  ●「前項の安全の確保については、確立された国際的な基準を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、

   並びに我が国の安全保障に資することを目的として、行なうものとする。」

 

従来の第2条でも充分な内容ですが

黄色線を引いた部分を強調して追加した事は軍事的な意味を追加したという事です。

基本法をどさくさ紛れに変更するとは、何かいかがわしさを感じます。

原発・プルトニウム~原子爆弾の開発~潜在的な核による抑止力を狙っているようにも思われます。

さらに今回の特定秘密法案では民主的な運営の下に、と言う点も秘密にされるでしょう。