呼吸と異物排除の仕組み

呼吸で身体に入った微粒子が

すべて悪影響を与えるとしたら大変な事です。

人類、動物はとっくに絶滅しているでしょう。

タバコを吸っている人などとっくに死亡しているでしょう。

 

身体に入った微粒子はほとんど排泄されます。

考えてみれば地球の歴史の中で

多くの変化を乗り越えてきたのですから

呼吸器官や肺は非常に丈夫な組織です。

ですから健康な人は排出できますが、

排出機能が低下しているお年寄りや呼吸器官の弱い人、

特に子どもなどは気をつけたほうが良いと思います。

前のペ-ジの図を更に詳しくします。

 

SCN_0061

 

 

呼吸の最初は太い気管です。

気管から順番に細かく分かれて

気管支になり更に細かく分かれて肺胞嚢になります。

吸込んだ空気は気管から23段階で肺胞に到達します。

実際には16段階目から

ガス交換機能(酸素と二酸化炭素交換)はあるようです。

先ほども書きましたが肺が異物を

排除する仕組みはとても優れています。

この仕組みが次の図です。

図の左から空気の流れとなっていますが、

細菌、ウイルス、異物などが呼吸と共に侵入します。

それをベタベタの粘液が絡め取って

口のほうに排除する仕組みです。

粘液板と書いてありますが粘液の層です。

粘液の層の下に繊毛があります。

繊毛は下の繊毛上皮細胞から生えていて(1個当たり200~250本)

1秒間に13回、口の方に向かって振動しています。

 

SCN_0060

 

その振動で粘液を口に出しているのです。

これが痰です。

つまり気管支粘膜が分泌する痰と異物です。

私たちはあまり意識していませんが

通常1日に100ミリリットル前後出ています。

しかも24時間稼動の休みなしです。

図の説明を続けます。

粘液はどこから出るのかと言うと

所々にある杯細胞で絶えず作っています。

そして通常と異なる異物が入ってきたとき、

大きい物を飲み込んだり、食道に入る物を誤飲したり、

PM2.5のような微粒子・・・・等は

せきとして排除しなければ間に合いません。

そこで迷走神経の先端の咳嗽受容体(咳をする神系)に

これらの異物が触れたときに咳をして排除します。

加齢や喘息で呼吸系にトラブルがあると

繊毛の数が少なくなったり、動きが弱くなって、

重力に逆らって異物を排除する事が難しくなります。

この粘液板の仕組みは気管支の3段階目まで沢山あり、

4段階目以降は少なくなりますので、

小さくて異物と判断されにくい物は通過する可能性もあります。

 

そして心配なのは肺胞まで侵入した場合です。

小さい物は(pm1.0)は肺胞まで

到達するとされていますが、

多くはそのまま呼吸で排出されます。

肺胞に沈着したばあいはマクロファ-ジで

貪食されて気道領域に運ばれるか

リンパ系に排出されると思われます