最終更新日:2016/01/16 11:12
厚生労働省が日本人の食事摂取基準報告書の2015年版でコレステロ-ルの摂取制限を撤廃しました。
要点は *体内のコレステロ-ルは肝臓で自動的にコントロ-ルされている
*コレステロ-ル摂取量が血中コレステロ-ルに反映されるわけではない
*1日に卵を2個以上摂取しても病気や死亡率に関係ない
*冠動脈疾患や脳卒中との関連も認められない
*糖尿病患者に関しても病気のリスクとの関連は認められない
*家族的に高いコレステロ-ルは遺伝性の原因である
さらにこの報告書では何ヶ所も高齢者の栄養不足について
「特に高齢者において低栄養を生じる可能性があるので注意が必要である」と述べています。
この発表で従来の常識が覆ったようです。
卵(鶏卵)2個以上食べてよいといっても、20個も30個も食べる人はいないでしょう。
これは常識的な判断です。
このシリ-ズでは、何度もコレステロ-ルの重要性を書き、またコレステロ-ルは高めが良いと書いてきました。
やっとこのことが裏づけされたような気がします。
高齢者ではむしろ高めのほうが安全です。
日本人間ドック学会では高齢者の総コレステロ-ルは「280」までOKとしているくらいです。
現在の「225」では低すぎるのです。
総死亡率や発ガンリスクで一番低いのは「240~260」です。
コレステロ-ルはホルモン原料になるので、あまり低すぎると少なくなると
ホルモン量が低下し免疫力が弱まるせいといわれています。
最近女子マラソンの選手に骨折が多いとの報道がありました。
これはトレ-ニングでコレステロ-ルが低下し、ホルモン低下、閉経、骨粗しょう症になったと思われます。
また若い女性で美を追求するあまり劇やせするとやはりコレステロールが低下し妊娠に不利になりますし、
栄養不足で育った胎児は反動で栄養を摂取する機能が発達し、将来成人病になる可能性も指摘されています。
これから問題になる認知症の多発にもコレステロ-ルは関係します。
認知症については次の機会に書きますが、
認知症の分類で日本人の場合一番多いのが脳血管に由来する認知症です。
脳神経や血管にコレステロ-ルの低下が影響を与えているのかもしれませんし、
日本で行われた大規模調査(1995年の福岡・久山町調査)では
高いコレステロ-ルが認知症の危険度が低くなる傾向が現れていますし、
低コレステロ-ルで育った子供が将来認知症になる率が高くなる調査もあります。
現に認知症の高齢者に低コレステロ-ルが多くなっている傾向があります。
厚生労働省が高齢者の栄養不足を懸念するのはこのあたりかもしれません。
やはり数値にこだわってあまり無理な治療をするよりも、十分な栄養と適度な運動が必要なことと思われます。
タグ: コレステロ-ルの摂取制限, 高齢者の栄養不足, 総コレステロ-ル, 骨粗しょう症, 認知症