最終更新日:2016/02/20 10:50
最近は血圧が少しぐらい高くても問題がないのでは、という意見が増えてきました。
色々な基準も見てみましょう。
まず日本総合健診学会のデータ-です。
* 最高血圧の基準(正常な)範囲 日本総合健診学会発表
折れ線グラフから数字にしたため大まかな数字です。
全国70万人の健診結果からの年齢別の基準範囲
基準範囲とは正常な人の95%が含まれる数値
正常な上限と下限の範囲に入っていれば95%の範囲です
男性の最高血圧のみ表にしてみました。
年齢 |
正常な上限 |
正常な下限 |
目標の範囲 |
45~49 |
150 |
90 |
110~130 |
50~54 |
155 |
90 |
112~134 |
55~59 |
161 |
90 |
113~138 |
60~64 |
163 |
92 |
115~140 |
65~69 |
163 |
98 |
120~143 |
70~74 |
168 |
98 |
121~145 |
75~79 |
167 |
103 |
123~146 |
* 女性の表は省略しますが60歳以上では似たような数値になります
55歳以上では160を越えていても正常範囲です。
高齢者は高いほど正常に入っていますね。
もし治療したとしても70~74歳以上では目標は145位であればOKです。
最低血圧の表も省略しますが、中高年では100前後までは正常範囲に入ります。
次は日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が協力して調査、発表した数値です。
2014年4月5日に公表されました。
* 検査基準値及び有用性に関する調査研究小委員会から
約150万人の人間ドック検診受診者からいわゆる健康人34万人を選び、
最終的にその中から超健康人(スーパ-ノ-マル)の人1万から1万5千人から
健康人の基準範囲を求めたものです。
超健康人とは変な言葉ですが、
超健康な人の数値は一体はどれ位になっているのかを知る上で参考になると思います。
それによるとメタボ検診と違ってかなり緩い基準値になっています。
先に基準を決めるのではなく、健康な人はこの範囲に入っているという数字です。
27項目を調べていますが、その中から血圧だけではなく参考までに、
メタボ検診に関係のあるものも記載します。
|
男性 |
女性 |
従来(男女共) |
||
HDLコレステロ-ル |
40~92 |
49~106 |
40~119 |
||
LDLコレステロ-ル |
30~80歳 |
72~178 |
30~44歳 |
61~152 |
60~119
|
45~64歳 |
73~183 |
||||
65~80歳 |
84~190 |
||||
総コレステロ-ル
|
30~80歳 |
151~254 |
30~44歳 |
145~238 |
140~225 |
45~64歳 |
163~273 |
||||
65~80歳 |
175~280 |
||||
HbA1c |
4.97~6.03 |
|
30~44歳 |
4.83~5.83 |
5.5以下 |
45~64歳 |
4.96~6.03 |
||||
65~80歳 |
5.11~6.20 |
||||
血圧 上 下 |
88~147 |
88~147 |
129以下 |
||
51~94 |
51~94 |
84以下 |
|||
BMI |
18.5~27.7 |
16.8~26.1 |
25以下 |
||
中性脂肪 |
39~198 |
32~134 |
30~149 |
注:健康な人は上の血圧が88~147であること
総コレステロ-ルは男性で254、65歳以上の女性で280となっています
血糖値(HbA1c)は6を超えています
日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が協力したことでも分かるように、
薬の乱用は当然のことながら医療費の赤字になります。
全国の健康保険組合が赤字で医療費を減らす為に協力したのではないでしょうか。
日本高血圧学会も少しずつですが基準を緩くしています。
* 高血圧治療ガイドライン 2014年
年齢 |
最大 |
最小 |
<75 |
<140 |
<90 |
家庭 |
<135 |
<85 |
75< |
<150 |
<90 |
家庭 |
<145 |
<85 |
注:75歳以下なら 病院で計って140、家でなら135まではOK
75歳以上は 病院で計って150、家でなら145まではOK
血圧が高いことが、健康上良いか悪いかという問題と別に、経済的問題も考えるようになりました。
そうしないと健康保険がパンクして本当に必要な医療に支障が出るからです。
薬を減らすことでどのくらい医療費が減るのかを試算した資料があります。
次の表を見てください。
日本人間ドック学会の基準で薬を出した場合どのくらいの患者が減るのでしょうか?
* 東海大学大櫛陽一教授の試算があります。
検査項目 |
従来基準での病人 |
新基準での病人 |
減る人数 |
コレステロ-ル |
4,200万人 |
360万人 |
3,840万人 |
血圧 |
2,300万人 |
570万人 |
1,370万人 |
BMI |
1,800万人 |
740万人 |
1,100万人 |
ばらつきはありますが薬代が半分から1/3位になることが分かるでしょう。
次には健康面、つまり血圧を無理に下げる弊害についてお話します。
検査して血圧が高いと、お医者さんはすぐに降圧剤を勧めますね。
しかし最近あまり無理して血圧を下げるとかえってよくないのでないかとも言われ始めました。
高いのも心配だけど、無理して下げても本当に大丈夫なのでしょうか。
長い人生の中でその人なりに血圧は自動で適切にコントロ-ルされています。
多くは家族的に決まるようです。遺伝ということですね。
しかし何か問題が生じた時には必要があって血圧は上昇します。
つまり上がる理由があるということです。
昔アパ-トの2階で一度に水道を使うと水圧が下がって水の出が悪くなるなんて言うことがよくありました。
或はホ-スが狭くなったり物が詰まったりしても水が出なくなります。
その場合水圧をあげて水の出や通りを良くします。
つまり水の出が悪い原因に対応する為に水圧を上げるのです。
私たちの身体も同じです。
必要が生じれば血圧が上がります。
もちろん人間の場合は物理的原因だけではなく体の中で血圧を自動調整している仕組みが狂うことでも上昇ははします。
血圧を上げる必要があって上がっているのに、原因を解消しないで血圧だけ下げてよいのでしょうか。
その不安に対する説明をします。
まず強引に目標の数字、現在だと130以下でしょうか、
血圧を無理に下げると心臓のトラブルが増えるという統計があります。