ガイドライン

まず、老年医学会がこのレポ-トをまとめた

趣旨を「ガイドライン」から見てみます。

 

[ガイドライン]

●  目的と経緯

 本ガイドラインは、

 高齢者で薬物有害事象の頻度が高く、

 しかも重症例が多いことを背景として、

 高齢者薬物療法の安全性を高める目的で

 2005年に初めて作成された。

 今回はその10年振りの改訂で、

 この間に発表された

 「高齢者に対する適切な医療提供の指針」

 骨子も受けた改定を目指した。

 2013年4月に、長寿科学総合研究事業

 「高齢者の薬物治療のガイドライン

 作成のためのワ-キンググル-プ」を

 兼ねる形で作成グル-プが結成された。   

    中略

 本ガイドラインの特徴として、

 中止を考慮すべき薬物若しくは

 使用法のリストである「ストップ」と

 強く推奨される薬物もしくは

 使用法のリストである「スタ-ト」の

 2つの薬物リストが挙げられる

       後略

●  リストの意味

 ストップの目的は、

 まず薬物有害事象の回避であり、

 次いで服薬量の減少に伴うアドヒアランスの

 改善や医療費の削減である。

(注:アドヒアランスとは患者が

治療方針に積極的に参加すること)

 リストの薬物は、系統的レビュ-の結果に基づいて、

 高齢者で重篤な有害事象が出やすい、

 あるいは有害事象の頻度が高いことを

 主な選定理由とし、

 高齢者では安全性に比べて有効性に劣る

 もしくはより安全な代替薬があると

 判断された薬物である。

 以下省略

●  対象

 対象はすべての高齢者である。

 ストップでは、特に薬物有害事象の

 ハイリスク群である75歳以上の高齢者

 および75歳未満でもフレイルな高齢者

 主な対象とした。

(注:フレイルな高齢者とは虚弱な高齢者のこと)

以下省略

●  リストの使い方

 基本的にストップの薬物は、

 対象となる高齢者には

 処方しないことが望ましい。

 したがって、服用薬に該当薬物があれば

 中止・変更を考慮する。

 その時点で有害事象の存在が疑われれば、

 まず中止するべきである。

 また、病態から薬物の適応を再考し、

 中止可能と判断できれば中止して経過観察する。

 適切な非薬物療法があれば導入するよい機会である。

 中止が困難な場合は代替薬への切り替えを考慮する。

●  課題と展望

 リストの導入により、

 特定の薬物の有害事象リスクを

 減らすだけではなく、

 多剤併用の減少を介して

 アドヒアランスの改善、

 有害事象・相互作用の減少、

 医療費の抑制といった

 効果をもたらすことが期待される。

以下省略