大東亜共栄圏

シンガポ-ル占領と華人虐殺
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最終更新日:2015/08/22 12:22

マレ-半島の北半分はタイ国で独立国でした。

南半分がイギリス領マラヤでその先端にシンガポ-ルがあります。

当時シンガポ-ルは東南アジアの軍事と経済の要で、強力なイギリス軍がいて難攻不落の要塞といわれていました。

その為日本軍は背後のマレ-(マラヤ)から攻めました。

日本軍は歩兵が行進したのでは間に合わないため自転車に乗って進攻しました。いわゆる銀輪部隊です。

* マレ-半島を攻めたのは第25軍で、第5師団、第18師団、近衛氏団の3つの師団で編成されました。

1942年2月15日、イギリス軍は降伏し、日本はシンガポ-ルを占領して約10万人を捕虜にしました。

* 歩兵第11連隊の陣中日誌によると、この時あか剤やちび(青酸)等の毒ガス兵器を使用しています。

占領後すぐに日本軍はシンガポ-ルを昭南島と名前を変えました。

マレ-半島からシンガポ-ルに済んでいたのは主としてマレ-人、華僑(中国人)、インド人でした。

日本は中国に対して激しい侵略戦争をしていましたから、当然華僑は日本に反感を持っています。

そのため日本軍としては華僑を敵と見做し、攻撃する対象と見ていました。

 

「 虐殺の始まりと経緯 」

   日本軍はマレ-人を利用して占領政策をうまく進めようとしました。

民族対立を利用したのです。

マレ-半島の工作を担当していた藤原機関(藤原岩一少佐)は積極的にマレ-青年同盟を利用し、

義勇軍や義勇隊を組織させました。

利用されて喜んだマレ-青年同盟は後に日本軍に「マレ-共和国」を作りたいと提案しましたが拒否されてしまいました。

結局はマレ-人を利用しようとした日本の計画はうまくいかず、

マレ-青年同盟はマラヤ人民抗日軍や地下抗日運動ワタニアやイギリス軍136部隊と協力して

日本軍と戦うようになっていったのです。

当初はマレ-半島やシンガポ-ルで、日本軍は民族対立を利用して華僑を虐殺したのですが、

華僑側から見るとマレ-人が日本軍と組んで中国人を殺しているわけです。

この事が戦後の民族対立につながっていくのです。

同じ事がビルマでも起こりました。ビルマではビルマ人を利用してカレン族を統治しました。

 

そして日本軍による華人大虐殺が始まりました。

日本軍が虐殺を開始する華人粛清の命令は正式には2月18日に出ています。

しかし実際にはそれ以前、日本軍が占領してすぐから捕虜や華僑に対する虐殺は始まっていました。

* 色々な書物には華僑粛清は、日本軍上陸後、華僑ゲリラによる激しい抵抗を受けたため、・・・・

   と弁解して書いているものもあります が、上陸前に粛清する事は決まっていたようです。

   憲兵隊長大石正幸中佐は上陸前に軍参謀長鈴木宗作中将から

  「軍はシンガポ-ル占領後華僑の粛清を考えているから 相応の 憲兵を用意せよ」との指示を受けていたのです。

占領から虐殺にかけての経緯を整理します。

  1942年2月15日 イギリス軍が日本軍第25軍(軍司令官山下奉文中将)に降伏してマレ-戦終了

  2月16日 日本の戦闘部隊をすぐにシンガポ-ル市内に入れると、不祥事が起きることを懸念して、

    戦闘部隊は郊外に待機し、第2野戦憲兵隊(隊長大石正幸中佐)が

    市内の治安維持やイギリス軍の武装解除に当たりました。

    南京事件のような不祥事を防ぐためだったようです。

  2月17日 第5師団歩兵第9旅団長 河村参郎少将がシンガポ-ル警備司令官に任命された

  2月18日 河村警備司令官は山下奉文軍司令官と鈴木宗作参謀長から華僑粛清の命令を受けた。

    その場に作戦の監督責任者として参謀辻正信中佐がいた。

* 掃蕩作戦命令  裁判記録や河村日記から

1 ・・・・シンガポ-ルの治安は相等悪い・・・・

  中国人の地下活動は広がってきているし、それが軍の作戦を妨げている。

2 軍司令官はこれら抗日分子の絶滅を企図している

3 ・・・・掃蕩作戦をただちに行ない、抗日分子を一掃すべし

4 ・・・・手段と方法は軍参謀長より指示される

* 軍参謀長からの指示

1 掃蕩作戦の期日は21,22,23日とする

2 対象

①    元義勇軍兵士

②    共産主義者

③    掠奪者

④    武器を持っていたり隠しているもの

⑤    日本軍の作戦を妨害する者、治安と秩序を乱す者ならびに治安と秩序を乱す恐れのある者

3 掃蕩の方法

① ・・・・地域のまわりに哨兵線を張り、抗日分子の逃亡を防ぐ。

② 地域を適当ないくつかのセンタ-に区分し、全ての中国人を指定した地域に集め、

  現地住民(注:マレ-人)の協力を得て抗日分子を選別する。

③ 上記に並行して、疑わしき場所を捜索し、隠れている者を逮捕し、

   隠されているすべての武器などを没収する。

④ すべての抗日分子をほかの者から分離する。

⑤ 全ての抗日分子を秘密裏に処分する

  このためにシンガポ-ル内で適当な場所を使ってよい。

  辻中佐を暫定的にこの任務を監督し、また連絡任務をおこなうために派遣する。

このひどい命令に河村は驚いて抵抗したが、天皇の命令に背くことは無理だった。

  2月19日 大日本軍司令官の名で「昭南島在住華僑18歳以上50歳までの男子は

  来る21日正午までに左の地区に集合 すべし」との布告が出された。

  2月21日 この日以降華僑たちは指定場所に集められ、そこで憲兵による簡単な検証(検問)が行なわれ、

  反日かどうかを 判断し、良民と判断されれば身分証明書に検証のスタンプが押され、

  反日らしい者はトラックで郊外に運ばれ銃殺 された。

  実際の判断基準は、質問、人相、財産のある者、教師・・・・という簡単なものでした。

  2月21日 大西覚憲兵中尉が責任者をしている検問所にやって来た軍作戦主任参謀辻正信は

  「なにをぐずぐずしているのか

   俺はシンガポ-ルの人口を半分にしようと思っているのだ」と激励した。

 

第5師団歩兵第9旅団長河村参郎少将は誠実で温厚な人柄で、華僑虐殺には反対でしたが、

軍司令官の決済ずみという事で結局は実行しました。

戦後イギリスのシンガポ-ル戦犯裁判で死刑になりました。

獄中で書いた手記には

軍の作戦命令の遂行によったものとはいえ、

私は犠牲になった中国人たちの魂の安らかな永眠を心の底から祈ります」と書かれています。

 

「 粛清の証言 」

* 読売新聞の従軍記者 小俣行男の手記から

敵は抵抗を止めて投降してきた。豪州兵だった。

投降兵たちはみんな山の陰に連れて行かれた。

1時間ほどたつと、パン・パン・パンと銃声が続けざまに鳴った。

恐らく彼等はみんな「処分されてしまった」のだろう。

その数は50~60人もいただろうか。

いや百人を超えていたかもしれない。

ここでも「インド兵は助けろ、英兵は殺せ」という原則が実行に移されたのだろう。

・・・・この華僑は重慶につながっているのだから敵だという。

兵隊は単純にそう考えている。

だから華僑をみつけると捕らえてしまう。・・・・

家の前に座らされていた中国人の姿は見えない。

ゴム林の中へ連れて行かれて処刑されたらしい。

さっきの銃声は銃殺したときのものだった。・・・

・華僑の処刑は上陸早々から始められたのだった。

* 第21連隊 河野通弘の証言 粛清命令以前の2月13日の出来事について

直ちに旅団予備の第2大隊に「華僑を粛清せよ」との命令が下された。

戦火から身を守るブキテマ華僑700余人は附近の防空壕に退避していたが・・・・

大隊長は第7中隊に華僑掃滅を命じた。

スパイ検問の余裕なく老若男女、幼児もろとも殺害に及んだ

射殺、刺殺、あらゆる手段を用い、はては壕内に住民を封じ込め手榴弾で爆殺した。

将兵らの目は血走り、鬼気迫る惨状であった。・・・・

作戦上の緊急手段であったとはいえ、多数の罪のない住民を殺害した。

* 通信隊小隊長 総山孝雄

軍参謀から電話で「・・・・第5師団はすでに300人殺した。

18師団は500人殺した。近衛師団は何をぐずぐずしているんだ。

足らん足らん、ぜんぜん足らん。」と大変な剣幕でどやしつけられた。

そこで師団から「とにかく軍への申し開きが出来るよう、

なんでもいいから数だけ殺してくれ」と命令があった。

小隊はやむなく人相によって人を振り分け、

振り分けた者が100人になるとトラックに積んでチャンギ要塞の近くの海岸に運び、

機銃で掃射して死体を海に捨てた。

 

抗日分子かどうか見分けるために集められた華僑は20~30万人と言われています。

そして日本軍のシンガポ-ル粛清で犠牲になった華僑の数は・・・・

* イギリスに残っている河村少将の日記には、

   2月23日に憲兵隊に報告させた数字として5,000人と書かれています。

   しかしその後も近衛師団その他で虐殺は続いていましたから正確な数字ではありません。

* 第25軍が東京に提出した報告書では5,000人となっていますが、これは河村日記を元にしています。

* 同盟通信社からマレ-戦に従軍していた菱川隆文の陳述書には

・・・・杉田中佐の話として、50,000人殺す予定だったが、

約半分殺した時に中止するようにと命令が出た・・・・とあります。

* 現地の調査では4万から5万人といわれていますが、いまだ完全に判明していません。

 

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