防疫給水部(細菌戦部隊)

生体実験の証拠資料
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最終更新日:2014/06/15 12:00

細菌部隊については国として正式資料等を残しているわけではありません。、

現在の調査はすべて周辺の状況証拠を集めて組立て判断しています。

しかしわずかながら発見されている資料もあります。

1983年秋に神田の古本屋に売りに出た資料です。

兒嶋俊郎氏が入手し慶応大学図書館が購入したものです。

発見された資料は次の3つです。

   きい弾射撃ニ因ル皮膚障害並一般臨床的症状観察

   破傷風毒素並びに芽胞接種時に於ける筋クロナキシ-に就て

   関東軍防疫給水部研究報告

これらの資料を少し見てみます。

* きい弾射撃に因る皮膚障害並びに一般臨床的症状観察(原文カナ)

加茂部隊      池田少佐担当

1940年9月7日から10日にかけて実施された、

毒ガスのイペリット弾を発射させたり、

イペリットやルイサイトの水溶液を飲ませた

5種類の実験結果報告書です。

恐らくは毒ガス部隊である第516部隊と協力した実験だと思われます。

イペリットはマスタ-ドガスとも言われ糜爛性で致死性の毒ガスです。

ルサイトはより即効性のある致死性毒ガスです。

その両方とも砲弾に黄色い印を付けた為きい弾といわれました
被験者は捕虜で柱に括り付けられ、すべて番号で呼ばれました。

報告書表紙の加茂部隊とは731部隊の秘匿名です。

原文はカナですが読みやすく直します。

読み取り不明は?とします

第一章 緒言

自昭和15年9月7日-至昭和15年9月10日・・・・きい弾射撃を実施せり。
第一地域発射弾数は1ヘクタ-ル100発、総数1800発(野砲に換算して)。

射撃時間は40分、15分間射撃、15分間休み、10分間射撃なり。

第二地域においては発射弾数は1ヘクタ-ル200発、総数3200発
第三地域は発射弾数1ヘクタ-ル300発、総数4800発なり。
被験者は地域内の・・・・各所に配置せり。

第一地域陣地に配置せる者は無帽、満服、下着、上靴を着用せしめ無装面とす
第ニ地域陣地にては無?夏軍衣袴上靴を着用せしめ無装面者3名、装面者3名とす
第三地域陣地に配置せるものは夏軍衣袴を着用せしめ無装面者2名、装面者3名とす
き弾射撃後4時間、12時間、24時間、2日、3日或いは5日後における

一般症状(神経障害を伴うものを含む)皮膚症状、眼部、呼吸器、消化器における症状経過を観察せり。

尚水疱内容液の人体接種試験、血液像並びに尿検査を実施せり

第二章 症例

第一地域陣地内被験者の症状およびその後の経過

287号

     (注:731部隊の捕虜・マルタで番号で呼ばれます
9月7日き弾射撃後4時間全身倦怠、口囲発赤を認め、

翌8日1時頃より全身倦怠、脱力感を覚え頚部発赤、顔面浮腫、眼瞼浮腫状、前臍背面部発赤、

22時頃より口囲に粟粒大水疱発生あり

9日22時頃より口囲に多粟粒大ないし米粒大の水泡発生、10日17時発熱37度、

・・・・・以下省略

280号

攻撃後4時間頃全身倦怠、不機嫌となる、

皮膚は顔面、頚、前胸、肩甲、陰嚢に潮紅を呈す、

眼は羞明、流涙多量、結膜充血す。

8日6時頃より嗜眠顔面浮腫脈拍亢進す。

皮膚は頚、前胸、肩甲発赤、顔面

特に口唇と陰嚢に粟粒大の水疱発生し亀頭発赤腫脹を認む。

眼は流涙多量、眼瞼浮腫、結膜浮腫並びに充血角膜混濁す。

鼻汁咳を訴ふ8日18時頃体温37度皮膚は顔面頚部に米粒大の水泡散在す。

両眼瞼浮腫、結膜充血、開眼困難なり、しわがれ声呼吸困難を訴ふ

・・・・以下省略

(・・・・その後296号、294号、376号

第二地域陣地内

265号、464号468号、499号、513号

(内容省略)

第三地域陣地内

303号、485号、486号、372号、358号

(内容省略)

   [持続効力ならびに原水攻撃効力観察]

   持久効力観察は,き弾射撃中止後約2時間半にして

   被験物(人のこと)を配置し10日22時より11日4時半まで放置して後観察す。

359号

11日9時食思不振脱力感を訴ふ。

皮膚は顔面特に眼瞼、鼻、口周囲、頂、腋、頚、背、腰、右前脛、両大腿発赤潮紅す。

眼は羞明流涙、眼瞼浮腫、結膜充血、角膜混濁す。

鼻汁、頚内掻破感まらびに灼熱痛、咳、咽喉発赤す

・・・・以下省略

   [原水攻撃効果観察] (毒ガス液を直接飲ませるひどい試験です)

479号

9月7日 原水飲用(攻撃)セシム
同10日 20時右眼に原水点眼す
同11日 右眼結膜発赤充血を認むる
同8日  (攻撃後12時間)嘔吐、下痢、????、粘血便を排出す

以下省略

287号

9月9日 原水を木炭にて除毒せる水300竓飲用(攻撃)せしむ
原水イペリット  15mg/L
ルイサイト    15mg/L
同10日 10日中には著変なし

10昼9日の原水を活性炭にて除毒せる水600竓飲用(攻撃)せしむ
以下省略

464号

9月9日の朝原水(イペリット148mg/L ルイサイト26mg/L)を

10日昼より飲用せしむるに

12時間後、食思不振、悪心嘔吐を訴ふ

11日食思不振17時頃嘔吐3回悪心腹部圧痛あり  
以下省略

第三章 水疱内容液の所見並びに人体試験成績(以下長くなるので以降項目のみです)

[第一節  水疱内容液の所見]

[第ニ節  人体接種試験]

第四章 血液像の所見
第五章尿の所見
第六章結論

第七章 附記

注 番号は生体実験した捕虜の番号です。

  たった一つの実験でこれだけの人間が犠牲になったのです

 

* 破傷風毒素並びに芽胞接種時に於ける筋クロナキシ-に就て(原文カナ)

(指導 永山中佐)

陸軍軍医少佐 池田苗夫

陸軍技師   荒木三郎

要点

破傷風毒素と芽胞を人間の足背部に接種し、

発症時の筋肉の電位変化(クロナキシ-)を測定した実権です。

対象になった人間捕虜(マルタ)は14人。

全員が死亡しています

結果

991号

破傷風芽胞300CCを皮下注射

測定位置

   咬筋、鼻筋、眼輪筋、胸鎖乳頭筋、潤背筋肋骨筋、脛骨筋

結果  約10日で死亡

691号

破傷風毒素100MLD接種  経過極めて電撃的

測定位置

   咬筋、鼻筋、眼輪筋、胸鎖乳頭筋、潤背筋肋骨筋、鋸歯状筋

結果  5日で死亡

595号

破傷風毒素10MLD接種  経過極めて電撃的

測定位置

   咬筋、鼻筋、眼輪筋、胸鎖乳頭筋、潤背筋、脛骨筋、腓腸筋

結果  7日で死亡

 

* 凍傷に就いて  (原文カナ)

第15回満州医学会ハルビン支部特別講演の要旨

昭和16年10月26日

満州第731部隊

陸軍技師 吉村寿人

吉村寿人は京都帝国大学医学部卒業

1938年満州第731部隊に陸軍技師として所属

終戦まで第一部細菌研究の中の吉村班(凍傷研究)の責任者だった。

捕虜を使った凍傷実験で有名。

実験 1

凍傷の発生をみるために塩水に手を入れさせ、徐々に温度を下げ

中指に装着した「ブレスチモグラフ」で皮膚温度や指容積の変化を記録した

塩水温度は-20℃まで下げている。

被験者の数は不明

実験 5

実験3と同様にして諸種の生活条件を変えたる後の血管反応の状況を観察し、

実験4に述べたる方法を以って抗凍傷指数を計算す。

5人の被験者に就いて検査せり

諸種生活条件変更

  水浴後    10℃水中 10分

  温浴後    40℃の湯 10分

  運動直後      背筋力計 15分連続

  満腹直後     過飽食(飯4杯 ?2人前)

  空腹 Ⅰ       絶食 2日後

  空腹 Ⅱ       絶食 3日後

  睡眠不足     一昼夜不眠

  夏季(8月初め)  室温25℃

  春季(4月中旬)  室温16℃

  温室(30℃)     4月調査

実験 6

苦力101名につき抗凍傷指数を求め之を年齢別に統計せるものなり

 

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