日本政府による毒ガス弾等の全国調査

前項目のように敗戦直後から日本で毒ガスの被害が相次ぎました。

各方面からの要請を受けて政府は全国総点検を始めました。

終戦時の毒ガス弾等の保有状況と廃棄状況です。

全国調査案は1973年に作成されましたが、長い間公表されず2003年4月21日にやっと公開されました。

*旧軍毒ガス弾等の全国調査結果報告(案)

この報告書は、昭和47年6月5日に開催された、「大久野島毒ガス問題関係省庁連絡会議」において

合意された、別添「旧軍毒ガス弾等の調査要領」及び「同実施細目」に基づき、

関係各省庁(環境庁、警察庁、防衛庁、厚生省、水産庁、海上保安庁)

及び各都道府県が実施した調査結果を取りまとめたものである。

1    終戦時における旧軍毒ガス弾等の保有状況

(1)(2)省略

資料1の1

 

SCN_0088   毒ガス政府全国調査

 資料1の2

上記地図の番号でどこにどれだけあったかの一覧表です。

地図

番号

保有部隊等

場所

イペリット

ルイサイト

青酸

ジフェニ-ル

シアンアルシン

砲・爆弾

1

海軍航空廠

千歳工場

北海道千歳

3.7t

2

大湊警備府管下

青森県大湊

2,000発

3

陸軍技術研究所

 米沢分室

山形県米沢市

若干

未確認

 

 

若干

 

4

陸軍習志野学校

千葉県

 習志野市

相当量

未確認

6t

若干

 

 

5

陸軍技術研究所

東京都新宿区

0.1t

 

 

6

海軍航空廠

瀬谷工場

神奈川県

 横浜市

150.5t

 

7

相模原海軍工廠

神奈川県

 寒川

47.7t

23.9t

 

8

相模原海軍工廠

化学実験部

神奈川県

 平塚市

0.4t

10.2t

77.0t

 

9

陸軍技術研究所

吉積出張所

神奈川県

 吉積

鉄ガメ20ケ、

ドラム缶30缶

 

 

 

10

陸軍技術研究所

三方原出張所

静岡県引佐郡

ドラム缶

 1缶

 

 

 

 

11

三方原

陸軍教導飛行団

静岡県引佐郡

16t

2t

 

 

 

12

陸軍技術研究所

高岡出張所

富山県高岡市

0.8t

 

 

 

13

陸軍造兵廠

忠海製造所

広島県竹原市

2,278.0t

13.2t

958.1t

 

14

海軍航空廠

切串工場

広島県江田島

192.8t

 

 

 

 

15

陸軍兵器補給廠

 大嶺駐在班

山口県大嶺

 

 

 

 

弾薬箱

50,000箱

16

陸軍造兵廠

曽根製造所

福岡県

 北九州市

 

 

 

 

16,000発

在庫(?)

17

海軍航空廠

大分工場

大分県大分市

90t

 

 

 

 

18

海軍航空廠

博多工場

福岡県志賀島

1.1t

 

 

 

 

合計

 

 

2,799.3t

13.2t

1,059t

弾薬箱50,000箱

ガス弾18,000発

 

2 終戦時における旧軍毒ガス弾等の遺棄情況

注:日本政府がまとめた1973年作成の全国調査案です。

  前の項目の最近発見された米軍資料[終戦時の毒ガス国内処理]とは別です。

  また発見された米軍資料は広島の範囲のみになっています。

  若干の重複はあるかもしれません。

(1)  省略

(2)  処理方法はおゝむね次の通りであった。

旧軍毒ガス弾等の処理は、在日米兵站司令部の命ずるところによって実施された。

処理方法は焼却破壊及び海中投棄が最も安全なものとして採用されたが、

主としては、海中投棄であった。

海中投棄は最寄の集積地汀線から、

10浬(約18.5km)以上沖で3,000フィ-ト(約1,000)以上の深さのある場所と指定され、

日本人作業者は専ら投棄船の操縦及び投棄作業の実施に用いられ、

監督の任にあたる在日米軍は監視船を同行するか

又はL-5飛行機から監視することによってその実施作業を監督した。

なお、監督の目をのがれ、しばしば投棄指定場所が侵犯された旨が残存資料に指摘されている。

資料2-1

 

SCN_0088  終戦時毒ガス廃棄

 

資料2の2

上記地図の番号でどこにどれだけ廃棄したかの一覧表です。

 

地図

番号

期間

イペリット

ルイサイト

青酸

ジフェニ-ル

シアンアルシン

砲・爆弾

備考

1

昭20.8

 

 

 

 

2,000発

昭24~25の間に再投棄

2

昭20.8

~21.5

不明

 

3

昭20.8

2t

 

 

 

 

4

昭20.8

16t

2t

 

 

 

昭25.7~9の間に再投棄

5

昭20.8

~21.10

1,845t

930t

990t

16,308発

 

6

昭20.12

 

 

 

 

大量の証言

(不明)

 

7

昭20.10

90t

 

 

 

 

 

合計

 

2,885t

 

990t

18,308発