軽水と重水

 普通の水は化学式で書けばH2Oです。その場合のH(水素)とはどのような水素でしょうか?

前に水素にも7種類あると書きました。H-1からH-7です。

水素は陽子が1つですから、数の違いは中性子の数ということになります。

H-1は     陽子  1個    中性子 0個   天然に存在している。安定

H-2      陽子 1個   中性子 1個   天然に存在している。安定

H-3      陽子 1個   中性子 2個   天然にはない。不安定

H-4      陽子 1個   中性子 3個   天然にはない。不安定

H-5      陽子 1個   中性子 3個   天然にはない。不安定

H-6      陽子 1個   中性子 3個   天然にはない。不安定

H-7      陽子 1個   中性子 6個

普通の水の水素は「H-1」なのです。

一番軽い水素です。

自然界では 99.988%がH-1です

それに対してH-2は中性子1個分だけ重くなります。

そのため軽い「H-1」で出来た水を軽水、重い「H-2」で出来た水を重水と呼んでいます。

ちなみにH2Oの酸素はO-16(陽子8個と中性子8個の合計)です。

  質量は 軽水  1+1+16=18

      重水  2+2+16=20

僅かですが重水が重いことが分かります。

名前は軽水とか重水といいますが、軽水は単に普通の水のことです。

今日本にある原子炉は沸騰水型でも加圧水型でもすべて軽水炉と言います。

沸騰水型軽水炉のようにです。

名前は難しそうですが、単に冷却剤や減速材に普通の水を使用している原子炉と言う意味です。

これに対して重水を使用した原子炉もありますが、日本の商業用原子炉にはありません。

注:H-3をトリチウムと呼んでいます。現在除去不能で問題になっています。

  トリチウムで水が出来ているため、区別できないのです。