ゴミ焼却発電

火力発電の燃料を輸入に頼っているため燃料代の高騰が問題になっています。

石炭や石油を燃やすならばゴミの焼却場で発電を出来ないのでしょうか、と誰しも考えます。

当然のことです。ヨ-ロッパではゴミ焼却発電がかなり進んでいるようです。

日本の場合省庁の縦割り行政が絡んでいます。発電は通商産業省、ゴミ焼却は環境庁だからです。

実際のところを考えて見ます。

日本では平成12年度に家庭からの一般廃棄物が1年間に5,000万トン出ていると環境庁は発表しています。

その内77%の4,030万トンが全国1,715ケ所の清掃工場で焼却されています。

これは1年間の数字ですから1日に換算すると、約11万トン

1ケ所の工場でで64~65トンを焼却している事になります。

しかし焼却炉には色々な種類があり大都市には「全連続式」、

地方の市町村は「バッチ式」、又その中間の装置があり、処理能力が異なります。

 

●日本のゴミ焼却施設(清掃工場) 平成12年度 環境庁「日本の廃棄物処理」

       焼却方式

施設数

処理能力(トン/日)

平均

合計

比率(%)

全連続式

534

294

156,934

77.9

准連続式

362

78

28,337

14.1

バッチ式

819

20

19,286

8.0

1,715

118

201,557

100.0

この表を見ると1日に20万トン以上の焼却能力があることがわかります。

しかし実際にはゴミは11万トンしかありません。今全国的にゴミが足りなくなっているのが現実です。

それは1日に294トンも焼却できる全連続式を多く作りすぎたためです。

ここにも癒着している公共事業があります。

そして、そのために震災の瓦礫の広域処理をする必要があったのです。

さてゴミ発電ですが全連続式534ケ所のうち233ケ所の焼却場で実施されています。

しかし発電しても利用する事がないため実際には発電しないか、自家用に発電しているのが実情のようです。

また発電に重きを置いていないため、技術開発も遅れ発電効率はかなり低くなっています。

 

●発電効率から見た施設の数

発電効率

施設の数

20%以上

3

15%~20%

5

10%~15%

44

5%~10%

60

5%以下

73

合計

185

注:233ケ所で発電している筈ですがこの集計では185ケ所になっています。

  実際に発電しているかどうか不明だからでしょう。

 

この表からは、せっかく発電していてもほとんどは発電効率が低く、まるで発電はお飾りの様なものです。

 

外国との比較をしてみます。

●主要国のゴミ焼却発電施設数と出力規模(全て一般廃棄物)

 新エネルギ-産業技術開発機構資料

 日本は2001年度、米国は2000年、他は1990~1993年   少し古いですが・・・・

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 日本は210施設で1058MWですから、1施設5MW

オランダ36MW(日本の7倍)、

ドイツ20MW(日本の4倍)、

英国、20.9MW(日本の4倍)、

米国27.6MW(日本の5倍)

 

従来から日本は他国と比べて焼却施設が多すぎだと指摘されています。

その割には発電が少なすぎます。

もし焼却場の数が減らせないのであればオランダやドイツ並みに発電効率を高めれば、

石油・石炭の節約になることは間違いないでしょう。

 

●各国の焼却炉の数 2008年~2009年

 日本   1243(デ-タ-によっても異なりますし年々大型化で少なくなっています)

 アメリカ   168

 フランス   100

 ドイツ    51

 イタリア   51

 スイス    29

 スェ-デン  21

 オランダ    9

 イギリス    7

 

東京都の場合23区内の清掃工場の廃熱を利用した発電がかなり行われています。

その内の4割の12ケ所の清掃工場が東電に電気を販売しています。(光が丘、目黒、有明、渋谷、足立など)

残りの6割は東京エコサ-ビス(東京ガスと事業組合の共同で設立したPPS)やたのPPSに販売しています。

(2012年4月5日現在 東京新聞)