新型コロナウイルスと免疫 5
「初めての感染」
自然免疫を突破して
自分以外の微生物(蛋白質・抗原と呼ぶ)が体内に入ると、
初めての為ある程度時間をかけて微生物を認識し、
中和したり破壊したりします。
その過程で身体の免疫の働きが変化し
2度目の侵入に備えるように記憶を残します。
それには数日間時間がかかる場合があるので、
その間時間稼ぎで身体は発熱して微生物の活動を鈍らせます。
そして新規の侵入と戦って免疫力が勝つと、
微生物は死滅し、熱は下がり、免疫の記憶が残ります。
◎その時に働く身体の組織
→造血幹細胞
リンパ球系幹細胞
B細胞 抗体産生細胞
T細胞 細胞障害性T細胞 ヘルパ-T細胞 インタ-フェロン
インタ-ロイキンを作る
NK細胞
→骨髄球系幹細胞
マクロファ-ジ 異物を食べる
顆粒球 好中球(異物識別をする) 好酸球 好塩基球
「二次免疫・2度目以降の感染」
最初に侵入した微生物(抗原)を認識した身体は、
2度目以降の侵入に備えて抗体を作ります。
抗体は特定の微生物(抗原)専門の特殊部隊のようなものです。
同じ微生物が2度目に侵入した時は
即座に専門部隊が出動し、免疫反応として対処できます。
これが良く聞く抗原抗体反応です。
この記憶は一生涯持続します。
自然界に100万種類以上あると言われる抗原に備える事が出来ますが、
備えるためには一度感染して記憶する必要があります。
そして記憶された量が免疫力となるのです。
身体に記憶させないで免疫力だけを付けようとするのが
予防接種(ワクチン)ですが、
感染で身体がきちんと記憶しているわけではないので
効果は長続きしません。
これらから考えるとよく言われる「どうしたら免疫力を高めるか?」の答は
「感染を繰り返して記憶の量を増やすこと以外にない」ことが分かります。
「集団免疫」
時々集団免疫という言葉が聞かれます。
これは今まで説明した個人的な免疫とは違って、
感染が拡大した後に集団的に免疫が働くのではないかという考えです。
具体的に説明すると、
今回の新型コロナウイルスの場合感染者の内死亡者はかなり少ないと予想されます。
2021年1月26日23時55分集計で累計感染者は
クル-ズ船を除いて372,413人です。
その中で死亡者は5,297人です。
死亡率は約1.42%です。
検査で感染が確定した人でも98%以上の人は回復することになります。
感染しても症状のない人、症状があっても軽い人、
発病しても病院に行かない人は
圧倒的に多いと思われるので、更に死亡率は下がるはずです。
そうすると、感染が急速に拡大した後、
98%以上の回復者が抗体を持って町の中に溢れます。
その結果、ウイルスは抗体保持者に囲まれて
新規感染することが出来ません。
また、感染者が中に存在しても抗体保持者の中で
感染を広げる事が出来なくなります。
これが集団免疫の仕組みです。
人類の歴史上これが繰り返されてきたものと思われます。
そうでなければ人類はとっくに滅亡していることでしょう。
但し、急速な感染拡大には死亡者が伴います。
次に現在流行している新型コロナウイルスについて書きます。
「コロナウイルスの大きさ」
コロナウイルスの大きさは、20~220nm(ナノメ-トル)と言われます。
他の物質の大きさと比べてみますが、まず大きさの単位です。
1メートル(1m)の1000分の1 → 1ミリメ-トル(1mm) 1メートルの1000分の1
1ミリメ-トル(1mm)の1000分の1 → 1マイクロメ-トル(1μm)1メートルの100万分の1
1マイクロメ-トル(1μm)の1000分の1 → 1ナノメ-トル(1nm) 1メートルの10億分の1
1ナノメ-トル(1nm)の1000分の1 → 1ピコメ-トル(1pm)1メートルの1兆分の1
つまりメートル基準で見るとコロナウイルスは1メートルの10億分の20~220の寸法しかないのです。
他の物質と比較してみます。
「他の物質との比較」
名称 | μm(マイクロメ-トル) | nm(ナノメ-トル) |
湿った霧 | 10~50 | |
花粉 | 10~50 | |
人の細胞 | 9~25 | |
PM2.5 | 2.5 | |
大腸菌 | 1~2 | |
煙草の煙 | 0.01~1.0 | 10~1000 |
コロナウイルス | 0.02~0.22 | 20~220 |
大きいウイルス | 0.02~0.8 | 20~800 |
肝炎ウイルス | 0.036 | 36 |
ノロウイルス | 0.035~0.04 | 35~40 |
匂いの粒子 | 0.001~0.020 | 1~20 |
注:匂いの粒子の大きさを考えた場合、
マスクをして柔軟剤等の匂いが分かるという事は
ウイルスも通過する可能性があるという事です。