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キーワード「個別折衝」を含む投稿一覧

  • 戦後賠償とゼネコン

    2020/07/27
    11:03

    1951年9月にアメリカとイギリスが中心になって

    日本を含む参加49ケ国(連合国)で

    サンフランシスコ講和条約が結ばれ、

    戦争の整理がされました。

    対日講和をめぐってはアメリカとイギリスの意見が

    なかなか一致しませんでした。

    アメリカは日本の戦争責任をあまり追及せず

    (損害賠償の請求権放棄)日本の早期独立を望んでしました。

    東西冷戦を睨んで日本の国力をあまり低下させずに

    アメリカ側に付かせるためでした。

    これに対してイギリスをはじめとする

    他の国は反対しました。

    中国の取扱に関しても

    アメリカは蒋介石の中華民国を支持し、

    イギリスは中華人民共和国を支持しました。

    その結果講和条約には、

    両方の中国、ビルマ、インド、ユ-ゴスラビアは参加せず、

    ソ連、チェコ、ポ-ランドは調印を拒否しました。

    特に一番迷惑を掛けた

    中国が招聘すらされなかった事は大きな問題でした。

    その後アジアの国々は

    日本との個別折衝で賠償交渉が始まりました。

     

    ●賠償等の対外支払い 28ケ国 単位 億円

    国名

    調印年

    賠償

    準賠償

    各種請求権

    合計

    ビルマ

    1955

    720

    612

     

    1,332

    スイス

    1955

      

    12

    12

    平和条約第16条

    1955

      

    45

    45

    タイ

    1955、62

     

    96

    54

    150

    デンマ-ク

    1955、59

      

    7.23

    7.23

    オランダ

    1955

      

    36

    36

    フィリピン

    1956

    1,980

      

    1980

    スペイン

    1957

      

    19.8

    19.8

    フランス

    2957

      

    16.728

    16.728

    スェ-デン

    1957

      

    5.05

    5.05

    インドネシア

    1958

    803.088

    636.876

     

    1,439.964

    ラオス

    1958

     

    10

     

    10

    カンボジア

    1959

     

    15

     

    15

    南ベトナム

    1959

    140.4

      

    140.4

    イタリア

    1959、72

      

    8.3305

    8.3305

    英国

    1960

      

    5

    5

    カナダ

    1961

      

    0.063

    0.063

    インド

    1963

      

    0.09

    0.09

    韓国

    1965

     

    1,080

     

    1,080

    ギリシャ

    1966

      

    0.5823

    0.5823

    オ-ストリア

    1966

      

    0.0601

    0.0601

    マレ-シア

    1967

     

    29.4

     

    29.4

    シンガポ-ル

    1967

     

    29.4

     

    29.4

    ミクロネシア

    1969

     

    18

     

    18

    北ベトナム

    1975

     

    85

     

    85

    ベトナム

    1976

     

    50

     

    50

    アルゼンチン

    1977

      

    0.8316

    0.8316

    モンゴル

    1977

     

    50

     

    50

        合  計

    3,643.488

    2,711.676

    210.7655

    6,565.9295

    注:1   支払いは短いもので4年 

        ミクロネシア、マレ-シア、シンガポ-ル

         長いもので20年 フィリピン

         2 準賠償とは無償資金供与のこと

         3 平和条約第16条とは、

         日本軍による捕虜虐待に関する補償のこと

         4 この他に政府や個人の在外資産の喪失や

         中間賠償(工場の機械撤去)があり、

        全部含めると1兆119億7311万円支払っています。

     

    このように賠償金額が決まりました。

    次にこのお金がどのように支払われたかですが、

    ほとんどが労務と資本財の提供つまり現物支給です。

    ダムや発電所です。

     

    具体的に見てみます。

    ◎ビルマ    バル-チャン発電所建設、

            鉄道計画、ラング-ン港復旧

    ◎フィリピン  マリキナ河多目的開発計画、

            カガアン渓谷鉄道、マニラ通信網整備

    ◎インドネシア 船舶10数隻、カリブランタス河開発計画、

            道路建設、鉄道網整備、通信網整備

    ◎南ベトナム  ダニム発電所建設と送電誠意

    ◎マレ-シア  外航貨物船 2隻

    ◎シンガポ-ル 造船所、通信基地

    ◎ミクロネシア 日本の生産物と役務の提供

      ミクロネシアは戦後アメリカが統治者になりました。

      1969年、日本とアメリカは現地の住民を無視して

      勝手にミクロネシア協定

      (太平洋諸島信託統治地域に関する

      日本国とアメリカ合衆国との間の協定)を

      結んでしまいました。

      日米は共同で見舞金として

      500万ドルを拠出するというものでした。

      それに対してその後アメリカ議会の

      ミクロネシア賠償請求委員会が受け付けた

      実際の請求額は25億ドル以上になりました。

     

    賠償は現物支給ですべて日本にお金は戻り、

    しかも何年にもわたる分割するという事は、

    ゼネコンを始めとする大企業にとっては

    安定した輸出市場が確保されたという事になります。

    朝鮮戦争の特需で高度成長のスタ-トを切った

    日本の大企業が安定成長を続けることが出来たのです。

     

    政官財一体、特に財界は

    国策専門のコンサルタント会社を通じて

    政官に働きかけて長期にわたる

    賠償計画を策定したのです。

    賠償が一段落すると大企業の成長を維持する為に

    ODA(政府開発援助)が計画されました。

    それに続いては

    公共事業と原子力発電事業が目玉になりました。

    日本の場合政官財の癒着がなかなか断ち切れないのは

    歴史的に仕方がないことなのかもしれません。

     

    ●現物支給賠償の工事は日本企業が行なっています。

     結局賠償金は日本の企業と政治家に戻ってきているのです。

     インドネシアと岸信介の賠償をめぐる

     お金の動きはその典型です。

     企業と政治が直接結びつくと

     癒着になるので全てのお金の動きは

     間にコンサルト会社が計画を立てます。

     いわゆる政策コンサルタントですが、

     鈴木宗男疑惑で登場した「日本工営」が

     戦後賠償で重要に位置にあったことは興味深いところです。

    注:日本工営は久保田豊が創立者で、

    水俣病で有名なチッソの創立者の野口遵と共に

    1924年年から朝鮮半島で活躍した政商です。

    当時衆議院外務委員会のベトナム賠償協定の質疑では

    「日本工営は私設賠償庁の観あり」と

    名指しされたくらい力があったそうです。

     

    賠償をアジアの国に対する謝罪だけではなく、

    日本の戦後復興に利用した事は国の公文書からも伺えます。

     

    ●「日本の賠償」  外務省賠償部監修  1963年

     ・・・・通常輸出困難なプラント類や、

     従来輸出されていなかった資本財を

     賠償で供与して「なじみ」を作り、

     将来の進出の基盤を築くことが、

     わが国にとって望ましいことである。

     ・・・・不況産業に対する特別の国内措置を要せずして、

     当該産業に対する救済策が実施されたこととなり、・・・・

     賠償が続いている間に、

     出来るだけこれを利用することが必要である。

     

    ●「昭和財政史-終戦から講和まで」大蔵省財政史室編 1984年

     ・・・・賠償協定の締結時期が遅くなった結果、

     高度成長期に入った日本は、

     大局的に見てさほど苦労せずに

     賠償を支払う事ができたのである。

     加えて、時期の遅れは復興した日本が東南アジアに

     経済的に進出する際の絶好の足がかりとして、

     賠償支払いや無償経済協力を

     利用するという効果をもたらした。

     

    そして現物支給ですから当然のことながら、

    現地政権の権力者の私腹を肥やすことはあっても、

    慰安婦、ロ-ムシャ、軍票・・・・

    犠牲になった個人への補償は一切されていません。

     

    2000年6月に日本政府の

    第15回外交文書公開が行なわれました。

    そこに戦後賠償と財界・政界の癒着の証拠が示されています。

     

    ●1958年に来日したインドネシアのスパンドリオ外相と

         岸信介の会談内容です。

     4月15日 岸信介 

      「・・・・船舶は木下商店が

      インドネシアの海運省と話し合っていると聞いている。

      出来るだけ要望に応じたい・・・・

     

    一国の首相が特定の商社の名前を出すのは異例の事です。

    この結果木下商店は9隻の受注を受け、

    中古の船をあてることで7~8億の利益を上げたとされています。

    恐らくその一部は政治資金として岸信介に戻ったものと思われます。

    注:木下商店は岸信介が戦前の

      商工省時代からの結びつきで、

    岸が戦後巣鴨拘置所に入っていた時には、

    留守家族の面倒を見ていました。

    1965年に三井物産に吸収されました。

     

    戦後賠償は、負けた国が勝った国の戦争費用を

    負担するというやり方が慣例として行なわれてきました。

    では日本が戦争に勝って

    賠償を取る立場の時はどうだったのでしょうか?

    明治時代、

    日清戦争に勝利して清国から取った賠償金は、

    2億3千万両になります。

    内訳は2億両が賠償、

    3千万両は日本が一旦取った遼東半島の返還金です。

    この金額はなんと当時の

    日本の国家予算の5年分だったといわれています。

    さらに、領土としては、

    台湾、沖縄、澎湖諸島を獲得しています。

    払う時にはゼネコン絡みの現物支給で、

    取る時には泥棒のようにむしりとっている事が分かります。

     注:戦後賠償は肝心の中国に対しては、

       中国が請求をしなかったため払っていません。

     

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