細菌戦の目的と手段

[ 731部隊の目的 ]
731部隊は世界に類のないほど

残酷な生体実験を繰り返しました。

しかし実験そのものは目的ではなく単なる手段でした。

目的は   

 1.細菌兵器の細菌培養や用剤の研究   

 2.使用方法の研究   

 3.細菌からの防衛研究

 

これらの目的のために

人体実験を必要としたのです。

その結果細菌戦に使用する微生物は12種類となり、

18種類のワクチンを開発したと言われています。

 

[ 細菌攻撃の手段 ]
細菌を使って敵を攻撃する手段は

色々と考えられました。

実験を繰り返し、成功したり失敗したりで、

そのつど罪もない中国人が犠牲になりました。

1.砲弾の研究  

 先端に細菌の液が詰まった75ミリの砲弾を

 開発したが実用性がなく、用されなかった

2.爆弾

 イ型 鉄製

 ロ型 鉄製

 ハ弾 

  外側が薄い鋼性の爆弾で、

  中に1500の小片が炭疽菌液に浸されていた。

  爆弾が破裂して1500の小片が

  人を傷つけて炭疽病を感染させる目的で開発された。

 ニ型

 ウ型

 宇治型爆弾 

  鋼の外膜の爆弾で中に細菌を詰め込んだが、

  落下と爆発時の発熱で

  細菌が死んでしまうためうまくいかず、

  改良を重ね陶磁器を使った宇治型爆弾となった。   

  長さ70センチ、直径18センチで

  約10リットルの菌液を内蔵できた。     

  旧式宇治型、宇治50型、宇治70型、

  宇治100型と改良されていった

 RO爆弾  

  高度投下用爆弾だがうまく出来なくて中止

 母と娘達爆弾 

  落下中の発熱を防ぐため、

  地面すれすれで爆発するように開発された。    

  母爆弾を先に落とし

  細菌液を抱えた娘爆弾が後から落とされ、    

  母爆弾の爆発の信号で娘達爆弾が爆発する仕組みだった。    

  コストがかかりすぎて実用化されなかった。

3.スプレ-   

  細菌を霧状にしてスプレ-する方法。   

  農薬の空中散布と同じ万年筆や

  杖の形をしたものまで暗殺用に開発した。

4.人力で撒く  

  川や井戸に入れたり、汚染された食料を配る

5.風船爆弾    

  今でも名前が残っているくらい有名です。    

  かなり高度を飛ぶため細菌が死んでしまい、

  改良が重ねられました。


細菌戦や生体実験について

軍の参謀本部はかなり細かく把握していました。

 

●医事課長大塚文郎大佐備忘禄第6巻から

  1944年5月23日、満洲に出張した小出中佐の報告

  (原文カナ、不明な字は?)

チフス保菌者治療

胆嚢部超短波 サルバルサン注射が効果あり

サルバルサン、注射ワクチン-着手せんとす、

手術的治療-マルタ実験 胆嚢?-縮、膿菌を入れる、

効果あり(中略)

ウジ弾(注:陶磁器製爆弾)-製作の希望あり、

宮田参謀に申せり、予算を申出よとの事なり

ホ号(注:細菌戦)高々度よりする集中攻撃 

命中及濃度構成ありしが、

現在効果をあげる見込みなき如し

Px(注:ペストノミ)生産 田中少佐の研究  

餅(注:ネズミ)の使用1/12となる  

丸太(注:中国人)500名

局長、餅を犬にしては如何 犬を使用し実施し在り

今冬より春にかけ演習成果

ペストの液菌は弾でやる(破片より入る)

傷者の10-30%発症、

弾子につれていくウジ弾 弾子20の中1割発症

乾燥ペスト菌成功せず、

1立米4ミリの濃度を必要とするとの見込

混菌 寒い所で凍って発症せず

将来関東軍は面に乾燥菌で

耐寒耐熱膠着性を考えいかんとす

脾脱疽 

食道感染は疑問なりしが効果あり、

ウジ弾で行かんとす

局長-消化器からは入りしならん

辰見大尉及部下2名感染す、

皮膚より入る、生命はとりとめた、

第2攻撃に参加する若い将校は良くやって居る

脾脱疽 消毒薬はない、之が製造も研究の要あり(中略)

丸太使用実験は中央として

 多いに全軍的に重要な事を解決せしむる為也

 Pxは弾丸の有効性の問題 

 草知参謀 秘密事項今発表せんで可ならん 

 高山参謀 有功章をやる如く連絡す、発表の方法を考慮しようと
  (中略)
発疹チフス予防施療液

5万人分を有す 

関東軍は労務者に使用し在り、

効果ある如し

ワクチンを作る時の残滓は

ワイルフェリックス反応のみ明瞭に反応するとの事、

軍隊にも使用して可ならん

大連衛研 第4性病の診断液良好なる?たり