国の関与 1

「河野談話」を発表する時には

かなり大掛かりに資料の調査が行われました。

その結果、国家や軍が重大なる関与をしたが

証拠文書は得られなかったとされました。

 

実はその以前も証拠文書は存在し

それ以降も多くの資料が発見されました。

 

それらの中から国家が関与した例を集めてみました。

国家以外にも従軍慰安婦に関係した組織は沢山あります。

具体的にどのような組織が慰安所に

関与していたのか一応整理してみます。

 

● 行政機関   

 中央政府  

  内務省(警保局)、外務省、大使館、領事館             

 道府県   

  県知事、警察部             

 植民地   

  朝鮮総督府-警察部                   

  台湾総督府-警察部             

 海外    

  海外、軍政組織

● 日本軍関係  

 軍中央  

  陸軍

   参謀本部(大本営陸軍部)、

   陸軍省

  海軍

   軍令部(大本営海軍部)

   海軍省              

  国内   

   各地の師団、連隊司令部              

  国外   

   関東軍(満州)、

   朝鮮軍、

   台湾軍、

   支那派遣軍、

   南方軍     

    (総軍、方面軍、軍、師団)              

   軍政組織  

    陸軍-軍政監部                  

    海軍-民生監部

● 民間     

  慰安所経営者           

  間接関係企業

   コンド-ム生産会社、

   船舶会社、

   金融会社

  軍以外の慰安所利用者-商社や企業の社員

 

これらの組織や会社に残された

資料を調査すればもっと多くの事が分かる筈です。

しかし従軍慰安婦の事を否定するする人たちは、

前にも書きましたが次の様な主張をします。

 ◎国家の正式な証拠資料がない。 

 ◎慰安婦つまり娼婦はいたが従軍慰安婦という言葉はない 

 ◎慰安婦は業者が勝手に行ったことで国家や軍は関係がない

 

しかし実際にはいくらでも証拠が発見されいます。 

 ◎上海事変まではアジア各地に日本の売春組織が勝手に進出し、 

  抱え主が多くの娼婦を抱えていました

  慰安婦とは呼ばれていませんでした。

 ◎上海の時に海軍が軍として慰安所を作りました

  そこに働く女性が慰安婦です。

 ◎それ以降は軍が主導する形で

  国の政策として従軍慰安婦というかたちになりました。

 

考えてみれば、中国で侵略戦争を行っている最中ですから

一般人の渡航は禁止されています。

 

そこに何故軍慰安婦がいたのか? 

◎現地の軍が慰安婦調達の要望書を地元領事館や大使館に出し、

 外務省や内務省が法律を整備した。 

◎売春を商いとする抱え主

 法律で戦地への渡航が許可されていた。 

◎戦争の最前線へ慰安婦を安全に

 輸送するためには、軍の船・列車・自動車を利用した。 

◎衛生管理・秩序を守るために

 徹底した現地軍の管理が必要だった。

 

その結果日本軍の従軍慰安婦がアジア各地に広がったのです。

しかし一応国家ですから、

表向きは勝手に侵略したアジア各地から強制連行は出来ません。

その為慰安婦の多くは

当初は日本人と植民地の朝鮮半島・台湾の女性が主となります。

もちろん正式な軍の慰安婦調達以外に、

現地軍による現地女性の強制連行

或いは強姦から始まる現地軍の慰安所

さらに軍人による勝手な強姦の多発が

問題を複雑にしています。

 

これから軍や国家機関が関与した証拠文書を整理します。

 

まず国際連盟の1932年(昭和7年)時点で日本の調査報告です。

 

● 東洋への婦人及児童売買拡張実施調査

   -日本に関する報告  マル秘

      今田真人「極秘公文書と慰安婦強制連行・三一書房」参考

    1932年(昭和7年)7月31日 国際連盟C・T・F・E・東洋・第35号

 P.1     日本は1904年及び1910年の国際条約に加盟せり。  

     但し1921年の条約は朝鮮、台湾、樺太等の

     植民地及び南洋委任統治地域、関東州租借地には  

     之が適用なし。  

    注:植民地等には適用しないという事です。

 P.18   他人の売淫による所得に依って

     生活する者を罰するの法律なし

    注:売春を罰する法律なし

 P.27  公娼たり得べき最低年齢は、

     内地に於ては18歳

     朝鮮、関東州に於ては17歳

     台湾に於ては16歳なり

   注:日本人18歳、朝鮮、関東州は17歳、台湾人16です

     アジア人差別の証拠です。

 P.76 輸出取引・・・・日本婦人及び児童にして

    海外に移送せらるる者の数は、     

    支那に対する場合を除きその数少し

 P.77 支那及び満州への出稼は、

    日支間は旅券又は査証を要せざる関係上、     

    正確なる数字は不明なるも

    日本婦人少女の満州を包含する

    支那への渡航は相当数に上る 

    日本婦人の支那出稼の主たる理由は、

    支那各開港地並に満州関東州各大都市に居住する     

    日本人男子の此の種婦人に対する需要に基くものなり。・・・・ 

 

次は1936年(昭和11年)の国際条約を日本語に訳し

外務省から出された連絡文書です。

 

● 他人の醜業に依る利得を禁止する為の

   国際条約草案仮訳送付の件(原文カナ)

 上記今田真人氏の資料参考

   1936年(昭和11年)9月11日

   外務次官→内務次官・拓務次官・司法次官

 他人の醜業に依る利得することを

 禁遏する為の国際条約案及勧告案仮訳

 第1条 

  締約国は不道徳行為に依り利得する

  目的を以て性の如何を問わず人を使嗾し、 

  誘引し又は誘拐したる者は

  其の方法の如何に拘らず

  之を処罰すべきことを約す

 第2条 

  締約国は第三者の醜業を幇助し、

  教唆し若は容易ならしむることに依り

  又は右に依り一切の物質上の利益を

  獲得することに依り

  不道徳行為に依り利得する

  一切の者を処罰すべきことを約す

 第3条 

  次の場合は罪を加重すべき場合と見做さるべし

  ⑴被害者が21歳に達せざる

   又は肉体的若は精神的に虚弱なるとき

  ⑵犯罪が強制、脅迫、公権若は権力の乱用、

   偽証、欺偽又は毒物若は麻薬の

   使用を方便として行われたとき

  ⑶犯罪者が被害者の配偶者、

   養子若は婚姻に依る直系尊属、

   兄弟姉妹又は保護者なるとき 

   罪の加重の効果は国内法に依り決定せらるべし