慰安所の形態と収入

形態がどのようなものであったかは、

軍が意識的に区別して作ったわけではないので、

分類がきちんと出来ている訳ではありません。

その時の緊急度、必要性、事情によって

臨機応変に作ったのです。

  ☆大都市か田舎か

  ☆駐屯部隊用か、通過部隊か

  ☆部隊だけの専属にするのか

   一緒に戦地を連れて歩いた

   最前線に出張した(出張慰安婦)

  ☆将校用か、兵隊用か、軍属用か、

   一部民間人が利用するか(現地商社の駐在員)            

   将校用は日本人慰安婦が多く、

   料亭という形式が多かった

 

資料が不足しているので、

どの慰安所がどの形態であったのかを

きちんと分類する事は出来ません。

さらに収入があったのかなかったのか、

強制か任意か・・・・このあたりも

正確には分かりません。

しかし軍がどのよう様な形式を取ったにせよ、

被害にあった女性から見ると同じ事です

軍という国の組織が起こした事として

きちんと理解するために、

軍慰安婦を含む性暴力全体の形態を

私なりに整理したいと思います。

このレポ-トの中には色々なケ-スが

混ざって含まれていますので

読み取っていただければ幸いです。

1. 軍直営のもの

 従軍慰安婦のことを否定する人たちは

 「名誉ある日本軍が慰安所など作る筈がない、

 全部民間でした事だ」と言います。

 しかしこのレポ-トの随所に

 軍直営と言う言葉が出てきます。

 ● 独立攻城重砲兵第2大体長の状況報告   

         1938年1月20日(原文カナ)

  慰安設備は兵站の経営するもの及び

  軍直轄部隊の経営するもの2ケ所ありて

  定日に幹部引率のもとに

  概ね1隊1時間の配当なり。

  衛生上の検査の為軍医をして

  あらかじめ立会い点検せしめつつあり・・・・

     注:軍の兵站部が経営と

       軍直轄の2ケ所で

       いずれも軍の経営です。

 ● 在留邦人の各種営業許可及び取締に関する

     陸海外三省関係者会同決定事項

  陸海軍に属する酒保および慰安所は

  陸海軍の直接経営監督するものに付、

  領事館は関与しない

2. 軍が管理、統制して

 民間業者に経営を委託したもの(軍直営に近い)

 ● 軍慰安所従業婦等募集に関する件 1938年3月4日

  将来これらの募集にあたりては、

  派遣軍において統制し、

  これに任ずる人物の選定を周到適切にし、

  その実施に当たっては関係地方の

  憲兵及び警察当局との連携を密にして・・・・

 ●上海の慰安所「海之家」の元経営者家族の話

  (経営者は)元海軍の軍人で戦艦「浅間」に乗っていた 

  上海の虹口で煮豆屋をやっていた 

  1939年に海軍から慰安所経営の話を持ちかけられた

  海軍との契約           

   1. 毎月、海軍に家賃として5円支払う事

   2. 海軍特別陸戦隊の軍属専属の慰安所とする事

   3. 慰安所の必要な物資は海軍が提供する

   4. 慰安所の所有権は海軍にあり、経営権を委任する

  注:これは内容的には軍直営と同じですが、

    経営だけを業者にさせているケ-スです。

3. 民間の売春宿を軍が契約、指定したもの。

 これも軍が主導しています。

 ● 1937年11月20日、

  陸軍省は玉ノ井、亀戸など数ヶ所の

  銘酒組合長を集めて

  「軍のために接待婦を至急集めて

  戦地に渡って もらいたい。」

  つまり軍に代わって慰安施設を

  作ってもらいたいと要請しました。

  これに答えて1938年1月、

  玉ノ井銘酒組合長・ 国井茂は

  53名の娼婦を集めて上海に渡り、

  呉松、南翔、南市で開業しました。

 

以上が軍としての正式な慰安所でしょう。

そして以下の形態が多くの問題になっているものです。

 

4. 前線で現地の連隊、大隊、中隊の

 責任者が臨時に作ったもの

 ● 現地人の幹部に命令して女性を集めたケ-ス

 ● 日本軍自らが女性を連行して集めたケ-ス

5. 勝手に拉致連行して作った、いわゆる強姦所

 村を襲撃し、皆殺しにして、

 女性だけを閉じ込めて長期間強姦したケ-スです。

 中国でも東南アジアでも

 全期間に渡って多発しました。

6.強姦

 慰安所ではありません。

 ただ手当たり次第に強姦をしたケ-スです。

 日本軍の特徴と言えます。

 

「慰安婦は金儲けをしたか?」

いまでも「沢山金を儲けた慰安婦がいる」

「慰安婦は商行為だ」という人がいます。

これは一般の民間売春宿と

混同しているものと思われます。

売春宿は公娼制度ですがやはり性差別です。

もっとも自由時間があってお金を貰えるなら

収入があっても当然かもしれませんが?

しかし軍の慰安所は違います。

外出等の自由意志もない強制労働です。

軍直営や民間との委託や契約した

いわゆる正式な(?)慰安所では、

慰安所利用規定があり

兵士は支払いをしています。

しかし韓国の調査では

慰安婦は19人中3人しか金銭を得ていません。

強制連行された上にその

費用が借金として残ったり、

国防献金で取り上げられたり、

軍票で貰ったり、

軍事郵便貯金に貯金させられたり、

敗戦のどさくさで・・・・等で

金銭を得ていない人が相当いるのです。

正式な(?)慰安所でもそうだったのですから、

臨時の強姦所や単なる強姦では

お金は支払われていません。

そしてその方が圧倒的に多かったと思います。