河野談話

その後1992年1月11日、

中央大学の吉見義明教授が、

日本軍の関与を示す防衛庁図書館の資料を発見、

朝日新聞に発表しました。

その結果国は謝罪する方向へと傾いていきます。

 

● 1月12日、加藤紘一官房長官は日本軍の関与を認め、

 13日に謝罪談話を発表しました。

 

● 17日には訪韓した宮沢首相は

 日韓会談で公式に謝罪しました。

 

1993年8月4日、

政府はある程度の資料調査と

韓国人慰安婦からの聞き取り調査をして、

河野洋平官房長官は談話として

下記の点を認めました。

1. 慰安所の設置・管理・慰安所の移送については、

 日本軍が「直接あるいは間接にこれに関与」した

2. 慰安婦の「募集」は、「甘言、弾圧による等、

 本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり」  

 「官憲等が直接これに加担したこともあった。

3. 慰安所における生活は「強制的な状況の下での

 痛ましいもの」であった。

4. 朝鮮半島出身の慰安婦の「募集」「移送」

 「管理」なども「甘言、弾圧による等、

 総じて本人たちの意思に反して」行なわれた。

5. 従軍慰安婦問題は「当時の軍の関与のもとに、

 多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた問題」あった。          

6. 元慰安婦の方々には

 「心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる

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このように認めた上で、

さらに談話では下記のように話しています。

「われわれはこのような歴史の真実を

回避することなく、

むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。

われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、

このような問題を長く記憶に留め、

同じ過ちを決して繰り返さないという

固い決意を改めて表明する」

 

この内容は一見すると

誠意ある謝罪のようにも聞こえますが、

国家はちょっと関与はしたが、

主体はあくまでも民間業者である。

そして軍や国家が組織的にやったことではない。

だから国家の国際法上の犯罪ではないという見解です

ですから政府は謝罪の意を表したが、

賠償はしないと言う立場を取りました。

民間主体に行なったことだから

政府は金を出さないが民間に基金を作って

償い金を出そうとしたのです。

そして歴史研究、歴史教育もその後の

歴史教育に生かすどころか、逆行さえしています。

その見解は今も生きていて、

「お詫びと反省」は政府や国民の

共通認識になっていないようです。

 

しかもその後はこの河野談話を

否定する政治かも出てきています。

● 永野茂門元法務大臣の発言  

 1994年5月7日 朝日新聞

 ・・・・慰安婦は当時の公娼であって、

 それを今の目から女性蔑視とか、

 韓国人差別とかは言えない

● 奥野誠亮元文部大臣(明るい日本国会議員連盟会長)発言  

 1996年6月

 ・・・慰安婦は商行為に参加した人たちで、

 強制ではなかった。

 公娼だった。

● 藤岡信勝東大教授(自由主義史観研究会代表)の論文    

 「諸君!」1996年10月号

  ・・・・彼女らは売春婦と呼ばれるべき存在だった。

  つまり彼女らは「人類の最古の職業」に従事していたのだ。・・・・

  戦地の舞台をお客とする娼婦が公娼制度の

 一環に位置することはいうまでもない。

● その後は櫻井よしこ氏、小林よしのり氏、

 ・・・多くの政治家と続き、

 最近では安倍首相や橋下氏の発言が有名です。

 

そして政府はこの官房長談話で調査を終了したとして

それ以降調査する努力を中止し、今に至っています。