1943年、日本軍資料

ここでは井本日誌ではなく、

1937年8月から

陸軍省医務局医事課員になった

金原節三大佐の陸軍省業務日誌摘録を

参考にします。

 

金原摘録

4月11日

 (731部隊の)指導方針は軍紀風紀の確立、

 研究成果の向上、作戦準備の完成に置く

 1943年度の研究事項

(第1部)基礎的諸元の研究。溢血熱の研究。4種混合の改良

 発疹チフスワクチン

(第2部)攻撃

(第3部)昆虫の駆除撲滅。防疫実施法の研究

(第4部)菌の大量生産。血清

(資材部)試験動物の需給計画

(治療部)保菌者の治療法研究

 

4月17日

 ホ号打合せ(参本にて)

 各防疫給水部の報告

 (北支)

  粟100g、餅1,000。 

  9月末100kgの粟生産可能

  但し餅の追送を要す(計2万ケ、月々漸増)

    注:ノミの生産の為にネズミを増やすことです

  イ 餅の輸送の場合、船便による時は

    船待(神戸4日)の関係上  

    相当の飼料を要するのみならず、

    これがため3割の損耗を生ず。

  ロ 研究を主体とし格好の試験所を獲得せり

    (保機、防諜上も適当なり)

  ハ 葡萄糖を使用し餅の節約となる。  

    約1/2の数で可能なり。  

    その粟の卵の保存法を研究し好結果を得たり

  ニ 砂ネズミ(蒙古)

 (中支)

 イ 粟の生産、毒化を研究中。

   現在量5kg

   (餅を2万匹補給すれば2ケ月後15kgになる)

   期日を3ケ月前に予告されたし

   AT1機4,000、暑気には弱し

 ロ 餅に3週間後にする法が最も良し。

   人血では減少。低音保存は不適。

 ハ 米に対する攻撃(さんかめは虫)。

   使用前1ケ年を要す。

   人工増殖は困難なり。

 ニ 粟の生産関係者を他に出さぬ様配慮せられたし

 ホ 輸送10日以上にわたる時は不可

 (関東軍)

 どぶねずみトラッテとの混種を作りあり。

 増殖力大なり。

 野ネズミには間々ペスト菌あり。

 又野ネズミには犬じらみ、

 他の粟その他の虫を有し防諜上も不可なり。

 (南支)

  イ 餅、月1万ケ。月産10kg。7~8は発生不良。

  5,6,9,10が良し。

  ロ 2月は補給現在迄2万

  ハ エヂプトヌマネズミの2代目を作り、粗暴性緩和す。

  飼育馴化しあり。自変種にかわりつつあり。

  ニ 葡萄糖を利用する等2/3の節用をなしあり。

 (南方軍)

  イ 昨年9月より研究を開始す。

  ケオピス粟は南方において発育良好なり。

  繁殖力も大なり。

  ロ 南方では山稜地区に肺ペストあり(気温15℃)、

    海岸には腺ペストあり。   

    一般に四季を通じ散発しあり。

  ハ 南方のケオピス(ペストノミ)は硬度大なり。

    熱に対する抵抗も強し。   

    アスファルト道路(45℃)では1分間で死亡するも、

  草原その他では2日以上生存す。

  ニ 原法。使用場所小。使用人、餅麦。増殖率小。

改良第1法  南方に適

改良第2法  保存適

  ホ 捕鼠は捕鼠器の約1割弱

    (南方1年を通じ同率で捕獲し得)

  北方は時季により異なる。

  ヘ 南方では気候の関係で四時増殖に適す。

  雨と日とを避ければ到る所飼育場となる。

  ト 北方より輸入の鼠は馴化に1ケ月を要す。

  チ 餅種を1回輸入すれば、あとは現地自活も可能なり。

  リ 人員265名を要す。50kgの生産可能なり

 

 会議はそのあと真田参謀本部作戦課長が話をし、

 懇談に移りました。

 懇談の内容です。ネズミの補給に就いての懇談です。

(医校)

  1   粕壁付近が主力となる。

   1軒30。4千軒で1組合(親1匹1ケ月2匹)。

   本年度予定埼玉47.5、茨城20.4

   栃木6.45、計74.45万

  2   埼玉県に飼料を補給せば20万増産可能。

   茨城県、栃木県は指導強化により

   10万程度増産見込み

   最大産出見込100万

  3   輸送の円滑にゆくのは関東軍のみ。

   南方軍には種を補給す。

   北満、南支特に予定せず。

 

次に1941年11月から同医事課長になった

大塚文夫大佐の備忘録を参考にします。

 

大塚備忘録

11月1日 

 医務局会報 ホ号報告要領(石井少将)

 10月19日参本より要求

 結論

 井本案 12000名 600万 1.2億万円

 真田案 編成6000名 月200万餅 6000万円

 (頂点に達せる場合)

 縮小案 2000 月60万 1200万円

この案は現在あるままの案 効果はあまり期待できぬ

 軍事課:やるかやらぬかわからぬ 攻防案立策が問題

       軍事課で課長以上に一席設け話をしたしとの事

 対米英戦に対する判決(石井)-軍事課に提出せる

 攻撃多量 先制

(中略)

 国際的の問題を遠慮する事なし

  ◎米国捕虜 黄熱のワクチン注射をなしあり

意見 1 北中南、南方統合せしめたし

 2 南方防疫給水部改編、実施されたし

 3 地区内防疫委員会 防疫隊

効果 効果あり

ホ号による患者、77~90%は死亡す

研究

ビルマ、印、支那、ニュ-ギニア、

オ-ストラリア、島嶼その他

機 27

□□□12機 攻撃は毎2ケ月に1地区

現在実績

 農安県 田中技師以下6名

 密偵によるは最効果あり

 時限信管

1kgペスト 500~1000斃し得