漢方薬

日本老年医学会のストップ薬には

かなり漢方薬があります。

私たちは昔から使われている漢方薬だから

安全だという思い込みがあります。

 

本来漢方薬は生薬、漢方薬、エキス製剤に分類されます。

 ◎生薬    

   動植物を乾燥させて作られ

   多くの成分が含まれる

 ◎漢方薬   

   複数の生薬を配合する。

   各生薬の成分が増強されたり

   緩和されたりする

 ◎エキス製剤 

   生薬からエキスを抽出して

   錠剤やカプセルにする。

   成分のバラツキは少なくなる

 

昔は1~3種類くらいを煎じたり

錠剤で服用しましたが、

現在ではドラッグストア-で手軽に購入できる為

10種類近く服用している人もいます。

 

漢方薬として製剤されて売っている場合、

生薬が重複しているため、

色々飲むと副作用が懸念されます。

また一見漢方ではないような名前もあります。

 

例:ナイシト-ル

メタボの内臓脂肪を減らす作用が

あるということでヒット薬品に

なっていますが、

これは「防風通聖散」のことです。

高齢者ではストップ薬になっています。

しかも本来の効能は

内臓脂肪ではなく皮下脂肪を

減らすとなっています。

 

内藤裕史筑波大学名誉教授がまとめた

「漢方薬副作用百科」には生薬の副作用が書かれています。

勿論根拠が少ないとその論文を批判し、

注意深く使用すれば安全だと主張する研究者もいます。

参考までに漢方薬副作用百科に書かれた

生薬とそれを含む製剤と副作用を書きます。

 

●黄連・黄柏を含む製剤

 商品名 温清飲、黄連解毒湯、荊芥連翹湯、柴胡清肝湯、コタロ-竜胆寫瀉湯

 副作用 発ガン性、受精卵の成長抑制

●大黄・牡丹皮・芒硝・桃仁・牛膝・紅花を含む製剤

 商品名 大黄を含む「防風通聖散」「大黄甘草湯」など18種類

          牡丹皮を含む「温経湯」など11種類

 副作用 流早産の危険性

●山梔子を含む製剤

 商品名 温清飲、黄連解毒湯、

     加味逍遥散など14種類。  

     一般用の300種類以上

 副作用 腸管膜静脈硬化症

●黄芩を含む製剤

 商品名 小柴胡湯、柴苓湯、黄連解毒湯、

     柴胡桂枝湯など29種類

     一般用の560種類に含まれる

 副作用 肺機能障害、肝機能障害、膀胱炎

●甘草を含む製剤

 商品名 葛根湯、柴胡桂枝湯、

     防風通聖散など108種類

     一般薬の1000種類にも含まれる

 副作用 擬性アルドステロン症

      注:副腎からのアルドステロンが

        分泌されていないのにあたかも

        過剰に分泌されているような

        症状を起こす

●麻黄を含む製剤

 商品名 葛根湯、小青竜湯、防風通聖散、

     麻黄湯など16種類

     一般の400種類にも含まれる

 副作用 心臓突然死、脳卒中、心筋梗塞、うつ病

●芍薬。牡丹皮を含む製剤

 商品名 芍薬甘草湯、当帰芍薬散、

     桂皮茯芩丸、葛根湯、小青竜湯など

 副作用 流早産、肝機能障害、間質性肺炎など