基準値の個人差

成人病検診、特にメタボ検診も

薬の乱用を助けているように思われます。

体温、脈拍、肥満度、血圧、コレステロ-ル、

尿酸、血糖・・・・その他多くの体内の数値は

生物によって異なります。

寿命もそうでしょう。

人間でも人種、家系、男女、年令で異なります。

これらの数値が高くても

長生きで健康な人がいますし、

低くても短命で病気がちの人もいます。

つまり、その人その人なりに適切な

体内基準があるということです。

私たちの身長や体重も個人差があります。

極端な場合は別として、

常識的に考えて正常範囲には

かなりの幅があります。

つまり基準の巾はかなり広いはずです。

しかし国民の健康を考える国としては

「健康の指針と」して何らかの基準を

設ける必要があります。

そこで決められるのが基準値です。

基準の巾を広くすれば異常(病人)は減り、

薬は少なくなります。

逆に、基準の巾を狭くすれば異常(病人)は増え、

薬は多くなります。

安全を考えると基準値は厳しく(巾を狭く)した方が

よいのかもしれません。

そのためでしょうか日本では

欧米の基準より厳しい傾向にあります。

 

問題は数値の高い人を急激に基準値に

しようとするあまり過剰に薬を投与することです。

私たちは、特に高齢者は長い人生を

自分に適した基準値で生きてきのです。

それぞれの人の数値は病気等の何か原因がない限り

その人にとって正常なのかもしれません。

それを誰かが(国が)決めた基準値に

強引にあわせようとして薬を投与すると、

身体はあわてて本来の自分の数値に

戻そうとする筈です。

薬に抵抗して本来の自分を取り戻そうとするのです。

一時的に薬の効果で変化しても、

身体はすぐに抵抗して、

つまり薬が効かなくなるのです。

すると薬の種類を増やしたり、

量を増やしたりしてさらに治療を目指します。

このことも副作用が増える一因と思わます。

 

又、身体が感染症その他の病気になったとき

自ら治そうと努力します。

その手助けで手術や薬などの医療行為をしますが、

それが自ら治そうとする「自然治癒力」を

妨げる場合があります。

 

例えば、

◎感染症で39度の熱を出した場合、

 原因は感染症なので病気が治れば

 熱は自動的に下がります。 

 むしろ感染と戦う為に発熱は必要なことです。

◎食生活の乱れで数値が上がることがありますが、 

 食生活を改善しないで薬で

 数値を下げることは解決にはなりません。

◎異物の侵入を防ぐ為に「くしゃみ」「咳」「鼻水」が

 出るが、薬で抑えようとする

◎悪い物を排除する為に「嘔吐」「下痢」「咳」をしますが、

 薬でそれを止めようとする

 

日本では各種健康診断の基準値の巾が厳しい為に

薬の使用量が増える傾向にあります。

現在国や各学会では基準値を緩める傾向にあります。

 

◎コレステロ-ル

 高めのほうがガン発生や寿命には

 有利なことがわかっています。

 厚生労働省も「コレステロ-ル制限」の撤廃をしました。

 総コレステロ-ル  240~260が安全

◎血圧

 高血圧学会(GL2017)では高齢者の場合

 上が147までOKにしています

◎血糖値

 糖尿病学会では高齢者の場合HbA1cが7.0までOK

 既に糖尿病の患者には8.5までOKにせいています

◎尿酸値

 痛風学会では9.0からを薬物治療の対象にしています。

 

その他、検診で測られる中性脂肪やBMIなども

現在より少し高めが有利です。