ドクタ-メ-ル箱

最近では日本医師会が

健康食品に関する被害の受付や

事例を発表しています。

次は被害の実例です。

 

「ドクタ-メ-ル箱」

国民生活センタ-は2014年8月から

医師からの事故情報受付(通称ドクタ-メ-ル箱)を

ホ-ムペ-ジ上に掲載することを始めました。

ドクタ-メ-ル箱には

2017年7月20日までに179件の情報が寄せられ、

その内9件は健康食品の摂取による

薬物性肝障害と診断されています。

9名の内女性が7名です。

いくつかピックアップしてみます。

 

● 2012年2月  50代・女性      

 10年以上前から健康維持のため

 数種の健康食品を摂取していた。

 今月、総合感冒薬を1日分摂取し、

 その約2週間後に腹部の不快感があったため、

 近くの病院を受診した。

 その病院でAST、ALTともに400U/L台と上昇がみられ、

 精査加療目的のため当院の紹介となった。

 血液検査したところ、

 使用していた健康食品の1種と

 総合感冒薬が原因と考えられた。

 その後、使用の中止のみで改善したが、

 治療期間は、経過観察をふくめ1ケ月以上となった。 

    以下略

 

● 2014年10月 40代・女性

 飲酒後二日酔いがあり、

 翌日に尿が濃いことを自覚して 

 近くのクリニックを受診した。

 同クリニックの血液検査で

 AST:3836 U/L、

 ALT:2869 U/Lと上昇が見られた。

 それまでに検診で肝機能異常を

 指摘されたことはなかった。

 当科の検査により、

 アルコ-ルの影響でよくみられる肝炎ではなく、

 摂取していた健康食品(摂取期間不明)が原因の

 薬物性肝障害と考えられた。

 健康食品の摂取を中止し、

 安静臥床で経過をみたところ

 再発悪化は認められなかった。   

以下略    

 

● 2015年5月 70代・女性      

 倦怠感、褐色尿、皮膚の黄染を

 訴えて当院を受診した。

 血液検査で、黄疸を示すビリルビンや、

 肝臓や胆道の病気の変化を示す

 肝胆道系酵素の値の上昇が認められたため、

 急性肝障害と診断した。

 なお、他の検査結果から、

 ウイルス感染症や自己免疫疾患などによる

 肝障害の可能性は低いと考えられた。

 患者は、2~3ケ月前頃から、

 知人に勧められた3種のサプリメントを使用しており、

 摂取を中止したところビリルビンや

 肝胆道系酵素の値は減少した。

 サプリメント3種に対して

 血液検査(リンパ球刺激試験)を施行したところ、

 3種全てで陽性となり、

 薬物性肝障害と診断し、1ケ月の入院となった。    

 

● 2017年1月 50代・女性      

 通販で購入した特定保健用食品の

 粉末青汁を脂質異常症の改善を目的に

 1回飲用したところ、腹部に不快感あり。

 13日後に寒気、15日後に頭痛。

 同日、検診にて肝細胞の異常を示す

 AST:858U/L、ALT:1090U/Lと

 値が高く肝障害を認めた。

 そのため、当院を受診し、

 そのまま34日間入院となった。

 なお、今まで肝障害の指摘を受けたことはなかった。 

        

解説

 ☆AST(GOT)やALT(GPT)は

  肝臓に含まれるアミノ酸を作る酵素です。

  そのため肝細胞が破壊されると

  血中に出るので検査で分かる。         

 ☆ビリルビン

  赤血球のヘモグロビンから

  作られる色素で胆汁の成分。      

  増えると黄疸になる。        

 ☆リンパ球刺激試験 

  アレルギ-を発症すると

  陽性になることがある。