最終更新日:2014/11/08 10:32
戦後ソ連は東京裁判で細菌戦部隊のことを公けにすることを要求しました。
しかしアメリカは731部隊の膨大な研究資料・情報を手に入れるため、
石井四郎をはじめ主要メンバ-と取引を開始し、
結局関係者は全員戦犯から外され、私たち日本人からも戦後隠されてしまいました。
* D・マッカ-サ- 動物実験はあったかもしれないが、人体実験などなかった
* J・キ-ナン判事 日本は先の戦争で生物兵器を使用する計画がなかった
朝鮮戦争でアメリカが日本の旧部隊員と協力して細菌戦を行ったことも、絵空事として否定しました。
アメリカの調査は1947年末頃終了しましたが、
ソ連はハバロフスクの裁判に備えて、東京裁判のソ連検事局から、
石井四郎等関係者の身柄の引渡しを要求してきました。
アメリカは身柄引渡しを拒否し、ソ連の調査団が石井の訊問に来日しました。
しかしアメリカ軍立会いの訊問で成果は得られませんでした。
このことは前項目で書きました。
ソ連からの情報提供の要求に対し協議を続けていた三省調整委員会は
1947年3月21日に結論を出し、マッカサ-に結論を連絡しました。
*三省調整委員会からマッカ-サ-への打電 (731部隊の生物兵器とアメリカから要約)
パ-トⅠ
以下の条件の下に、連合国最高司令官は石井中将、菊池、太田両大佐の
ソ連による尋問を管理することを許可する。
a. 菊池、太田両大佐はアメリカの専門家の尋問を受けさせること。
陸軍省は尋問の実行とそれに続くソ連の尋問を傍聴するために、
特別に訓練された専門家をただちに派遣する用意がある。
b. 事前の尋問においてソ連側に暴露するべきでないと思われるほど重要な情報が出てきた場合。
菊池と太田はその情報をソ連側に明らかにしないよう指示をうけるようにする。
c. ソ連の尋問に先立って、日本の生物戦専門家たちはこの件について
アメリカの尋問を受けたことを言わないよう指示を受けること。
パ-トⅡ
日本人による中国に対する戦争犯罪についてきょみを持っているということは明確に示されていないで、
尋問はそうした角度からというよりは、友好国の政府に対する友好的な態度の表明といして許可されるものである。
今回の尋問許可は将来の前例になるものではなく、
その都度検討されるべきものであることをソ連側に明確に示すこと。
この連絡を受けGHQ参謀第2部(G2、諜報部門)のウィロビ-部長は
ソ連の対日理事会代表デレビヤンコ中将にソ連の尋問要求に対する回答書を出しました。
*ウィロビ-部長からの回答 (731部隊の生物兵器とアメリカから要約)
ソ連側には中国人や満州人に対する戦争犯罪について取り調べたいという明確な興味が感じられない。
当該の人物についてはすでに極東国際軍事裁判のソ連検察団の協力を得て、
国際検察局、連合軍最高司令部合同の尋問を考慮していた。
しかしながら、この合同尋問は戦争犯罪調査の目的では認められないし、また将来の前例となるものではない。
つまりアメリカはソ連からの要求を拒否したのです。
そして1947年8月アメリカ政府の三省調整委員会極東小委員会はは次の決断を下しました。
* SFE 188/2、State-War-Navy Co-Ordinating
Sub-Committee for the East
実際上、石井と彼の協力者によってもたらされた日本の生物戦計画に関する情報を
情報チャンネルにとどめる。
という彼らとの約束は、米政府が生物戦活動に戦争犯罪行為はあったが、
それにたずさわった者はだれも追訴しないと約束するのに等しい。
このような了解は、石井と彼の協力者がこれまでに提供し、
これからも提供し続ける情報の存在ゆえに、
アメリカ国民の安全保障のためにきわめて重要な価値をもつだろう。
しかしながら以下に述べる事態が発生するわずかな可能性についても留意しておく必要がある。
すなわち、奉天地区でソ連が独自に行った捜査によって、
アメリカ人捕虜が生物兵器機能の実験目的で使用され、
その結果死亡したことの証拠を暴露する可能性。
さらにその証拠が東京で審理中の重要日本人戦犯の反対尋問で
ソ連人検事によってもち出される可能性である。・・・・
アメリカにとって日本の生物戦デ-タは国家安全保障上、高い重要性をもつものであり、
「戦争犯罪」として訴追することの重要性はそれに及ぶものではない。
「GHQが731関係者に現金を」
アメリカは731部隊関係を隠蔽し、情報を独占するために関係者に多額の現金を渡していた事がわかりました。
*2005年8月15日 東京新聞 ワシントン=共同 全文掲載します
第二次大戦中に中国で細菌による人体実験を行った旧関東軍防疫給水部(731部隊)関係者に対し、
連合軍総司令部(GHQ)が終戦2年後の1947年、
実験デ-タをはじめとする情報提供の見返りに
現金を渡すなどの秘密資金工作を展開していたことが14日、米公文書から明らかになった。
総額は国家公務員(大卒)の初任給ベ-スで比較すると、現在の価値で2000万円以上に達する。
人体実験で3000人ともいわれる犠牲者を出した同部隊をめぐっては、
GHQが終戦直後に戦犯訴追の免責を約束したことが分かっているが、
米国が積極的に働き掛ける形で資金工作を実施していた事実が判明したのは初めて。
文書は、米国が731部隊の重大な戦争犯罪を認識していたにもかかわらず、
細菌兵器の開発を優先した実態を記している。
文書は47年7月17日付のGHQ参謀第2部(G2、諜報部門)=肩書は当時、以下同=の
ウィロビ-部長のメモ「細菌戦に関する報告」と、
同月22日付の同部長からチェンバリン陸軍省情報部長あて書簡(ともに極秘)。
神奈川大の常石敬一教授(生物・化学兵器)が米国国立公文書館で発見した。
同文書によるとウィロビ-部長は、731部隊の人体実験を調べた米陸軍省の細菌兵器専門家、
フェル博士による部隊関係者への尋問で「この上ない貴重なデ-タ」が得られたと指摘。
「獲得した情報は、将来の米国の細菌兵器計画にとって最大限の価値を持つだろう」と、
G2主導の調査結果を誇示している。
具体的な名前は挙げていないものの「第一級の病理学者ら」が資金工作の対象だったと記載。
一連の情報は金銭報酬をはじめ食事やエンタ-テイメントなどの報酬で得たと明記している。
陸軍情報部の秘密資金から総額15万円から20万円が支払われたとし
「安いものだ」「20年後の実験、研究成果が得られた」と工作を評価している。
当時の20万円を国家公務員(大卒)の初任給で現在の価値に置き換えると
2000万円-4000万円に相当する。