海外や国内からの勧告

まず外国からの勧告です。

 

「アメリカ議会での勧告決議」

2000年位からアメリカでは

日本の慰安婦問題に対し、マイケル・ホンダ議員を

中心とした日本に批判的な議員が超党派で

日本に対する非難勧告が準備されていました。

アメリカとしては友好国の日本政府に対し

正面からの決議案が可決できるか危ぶまれていました。

日本政府としては何とかこの可決を阻止しようと試み、

2006年6月頃から大物ロビイスト、

ボブ・マイケル前議員に

毎月6万ドルを支払って裏工作の展開しましたが、

その事実は発覚してしまいました。

 (2006年10月7日 ハーバ-ズマガジン)

何でも金でカタをつけようとする

悪い癖で実にみっともない話です。

しかも私たちの税金です。

評判を落とし形勢不利になったため当時の

(第一次)安倍総理は、ブッシュ大統領に

「河野談話の踏襲」を約束しました。

しかしその約束した翌月に

44人の国会議員が首相の発言を否定する

広告をワシントンポストに掲載し、

アメリカでは大問題になりました。

首相が約束した事を直後に議員が否定し、

しかも注意も処分も受けない・・・・

日本国家の不思議なところです。

 

● ワシントンポスト紙への意見広告掲載  

            2007年6月14日

◎広告のテ-マ 

 「THE FACTS」

 内容(要旨)

  FACT 1

  ☆女性達がその意思に反して

   日本軍によって売春を強制されたことを

   明確に示すものはない。

  ☆それとは対照的に女性達を

   その意思に反して強制しないよう

   民間ブロ-カ-に対して  

   警告すといる文書が多く見つかっている。

  FACT 2

  ☆これらの命令や警告が

   責任を持って実行された

   多くの新聞記事がある。   

   これらは日本政府が女性に対する

   非人道的犯罪に対して  厳しく

   対処していたと言う証拠である。

  FACT 3

  ☆明確な規律違反のケ-スもあった。     

   スマラン島のオランダ人女性を

   強制的に「慰安所」で働かせるために

   駆り集めた、という例がある。   

   これは軍の命令で閉鎖され、関係者は処罰された。

  FACT 4

  ☆マイク・ホンダ下院議員の決議案は、

   告発の殆どが元慰安婦の証言によるもので、   

   強制的に働かされたと証明でき るものは何もなかった

  FACT 5

  ☆日本軍に付随していた慰安婦は、

   一般的に言われているような「性奴隷」ではなかった。

  ☆当時は国際的にも売春が合法であり、

   慰安婦はそういった認可制度の下で働いていた。

◎賛同者

 国会議員

  (自民党)

   愛知和男、赤池誠章、稲田朋美、江藤拓、

   大塚高司、岡部英明、小川友一、鍵田忠兵衛、

   亀岡偉民、木原稔、木挽司、坂井学、

   島村宣伸、杉田元司、鈴木馨祐、薗浦健太郎、

   平将明、土井亨、土井真樹、戸井田とおる、

   西本勝子、林潤、古井禎久、松本文明、

   松本洋平、武藤容治、山本ともひろ、

   渡辺篤、中川義雄

  (民主党)

   石関貴史、泉健太、河村たかし、北神圭朗、

   田村謙治、牧義夫、松下謙公、松原仁

   吉田泉、笠浩史、鷲尾英一郎、松下新平 

  (無所属)

   西村眞悟、平沼赳夫

  (学者・評論家・ジャ-ナリスト)

   福田逸、遠藤浩一、宮崎正弘、東中野修道、

   荒木和弘、島田洋一、西岡力、藤岡信勝、

   加瀬英明、西尾幹二、富岡幸一郎、岡崎久彦

  (世話人)

   櫻井よしこ、屋山太郎、花岡信明、

   すぎやまこういち、西村幸佑

 注:黄色線の河村たかし、松原仁の両氏は

   恒久平和の議員連盟にも名前を連ねています。  

   実にいい加減な議員です。

 

この広告が掲載されたことは

アメリカ議会で大問題になり、

日本に友好的で決議に

消極的だった議員も批判派に変わりました。

その結果2007年6月26日

アメリカ議会下院・外交委員会で

「旧日本軍の従軍慰安婦制度に関する決議案」が通り、

下院の採決を待ちました。

アメリカ政府は日本の参議院選挙への

影響を配慮して好意的に採決を延ばし

7月31日に全会一致で採決されました。

 

● 決議案の内容(要旨)

河野談話やアジア女性基金を評価歓迎した上で、

さらに日米関係が大切である事を確認した上で

次のような勧告決議がされました。

1. 日本政府は1930年代から

 第二次世界大戦終戦に至るまで

 アジア諸国と太平洋諸島を植民地化したり、   

 戦時占領する過程で、

 日本軍が強制的に若い女性を

 「慰安婦」と呼ばれる性の奴隷にした事実を、   

 明確な態度で公式に認めて謝罪し、

 歴史的な責任を負わなければならない。

2. 日本の首相が公式声明を通じ謝罪すれば、

 これまで発表した声明の真実性と真実に対し

 繰り返されている疑惑を

 解消するのに役立つだろう。

3. 日本政府は、日本軍が慰安婦を性の奴隷として

 人身売買を行なった事実は決してないとする

 主張に対して明確に公開的に

 反論しなければならない。

4. 日本政府は、国際社会が提示した

 慰安婦に関する勧告に従い、

 現世代と未来世代を対象に

 残酷な犯罪について教育しなければならない。

 

アメリカの決議に

世界のマスコミは注目しました。

 

ドイツの地方紙の記事です。

● ベルリ-ナツイトング紙 8月1日 第1面

「さらしものになった日本」

この決議には拘束力はないが、日本には非常に痛い。

ワシントンがこのような決議をするには

通常、ならずもの国家に対してであり、

政治的同盟国に向けてはしないからだ

塩崎官房長官は、決議を遺憾とし、

日本政府は慰安婦問題に

真剣に取り組んで来たという。

ところが、安倍首相は

強制売春の証拠がないとまで述べたのだ。

女性たちはここ10数年にわたって

提訴を続け、諸判決で事実認定がなされている。

しかし彼女らが補償を得ることはない。

日本にはそのための法律がないからだ。

しかし、数少なくなった

被害女性たちにとっては、

問題は金でなく、なによりも彼女らの尊厳なのだ・・・・

 

「その他の国の勧告決議」

● オランダ 2007年11月20日

 オランダ国会下院は・・・・

 日本が、公に、いかなる遠慮もなく

 第二次世界大戦以前から戦時中にかけて

 運営した強制性奴隷制度に対し、

 なに人も疑う事の出来ない

 いわゆる慰安婦に与えられた苦難に対して、

 全責任を取るべきだという意見を持ち:・・・・

 わが国の下院議長が

 日本の衆議院議長に出したワシントンポスト紙の

 広告に関した6月26日付の手紙に答えて

 衆議院議長が11月7日付の手紙で

 彼が広告とは別な立場であると言明したことを注記し:

 ・・・・オランダ政府が日本政府に対し、

 1993年に遺憾の念を表明し、

 強制売春制度の運営についての

 日本軍の関与に全責任を取るという

 談話の価値を引き下げるいかなる声明

 控えるように強く要求することを求め:

 ・・・・現在生存する元慰安婦に

 加えられた苦難に対して直接的、

 道徳的な金銭補償の形態を提供するという

 追加の姿勢を取ることを強く要求するように求め:

 ・・・・日本の学校教材が

 第二次世界大戦中の慰安婦の

 運命を含む日本の役割について

 正確な情報を与えるよう促すことを強く求める。

 

● カナダ  2007年11月28日

 カナダ政府は日本政府に対して、

 1993年の河野談話の反省の表明

 おとしめるいかなる声明をも断念すること、

 日本帝国軍のための「慰安婦」の性奴隷化や

 人身取引などは存在しなかったという

 いかなる主張に対しても、

 明確に公式に反駁すべきであり、

 日本帝国軍が強制売春制度に

 関与した事に対する

 全責任をとるように励ますべきである・・・・

 

● 欧州議会(EU) 2007年12月13日採択

  途中省略

 5. 1930年代から第二次世界大戦終了までの

  アジアと太平洋諸島の植民地及び

  戦時占領地において、

  世界に「慰安婦」として知られる、

  皇軍による、若い女性を

  強制的に性的奴隷状態においた行為を、   

  日本政府は明確かつ

  あいまいなところのないやり方で、

  公式に認知、謝罪、そして

  歴史的、法的な責任を受け入れることを勧告し

 6. 生存している全ての「慰安婦」制度の

  被害者及び死亡した被害者の家族に対する

  賠償を行うための   

  効果的な行政機構を

  日本政府が設置すべきことを勧告し;

 7. 日本の国会は、日本の裁判所が

  賠償命令を下すための障害を取り除くべく 

  法的措置を講じることを勧告し

  特に個人が賠償を求める権利は

  国内法において至急実現されるべきであり 

  国内法で犯罪である性奴隷制の

  生存者に対する賠償請求裁判は 

  生存者の年齢を考慮すれば優先されるべきであり

 8. 日本政府は「慰安婦」を服従させ隷属させたことは一度もなかった、といった意見に対して

  公的に反論することを勧告し;

 9. 省略

  10. 欧州議会議長に、

  この決議を日本政府と議会、

  国連人権委員会、ASEAN諸国の政府、  

  朝鮮民主主義人民共和国、 大韓民国、

  中華人民共和国、台湾、

  東ティモ-ル民主共和国、及び欧州理事会、

  欧州委員会とEU加盟国に送付するように 指示する

 

これよりは被害当事国で内容的には

分かりきった事ですから省略します。

●フィリピン 2008年3月11日 

       下院外交委員会決議

●韓国    2008年10月27日 

       韓国国会本議会採択

●台湾    2008年11月11日 

       台湾立法院決議採択

 

外国からだけではなく日本国内の自治体からも

多くの勧告が出されています。

 

「国内の地方自治体の意見書決議」

● 札幌市の決議

 2008年11月、北海道札幌市議会で

 「慰安婦問題」に関する意見書が採択されました。

 政令指定都市では最初の決議です。

 案は民主党が作成し、民主、公明、

 市民ネットワ-ク札幌、共産が賛成し、

 自民のみが反対しました。

 ◎意見書第9号

  「慰安婦」問題に関する意見書

  2007年7月30日、

  アメリカ下院議会は全会一致で、

  「日本軍が女性を強制的に性奴隷にした」

  ことを公式に認め、謝罪するよう

  日本政府に求める決議を採択した。

  日本政府に謝罪と賠償、

  歴史教育などを求める決議案は、

  アメリカに続き、昨年11月にオランダとカナダで、

  12月13日にはEU議会で採択されている。

  また、今年3月にはフィリピン議会

  下院外交委員会も2005年に続く

  2度目の決議を採択している。

  他、国連やILOなどの国際的な

  人権擁護機構からも繰り返し、

  勧告、指摘を受けている。

  しかしながら日本政府は、

  これらの決議採択を受けても、

  公式な謝罪をしていない。

  これは、1993年の河野洋平官房長官の

  談話と矛盾する態度である。

  日本政府が、

  「慰安婦」の被害にあった女性たちに対して、

  未だに公式の謝罪もせず、

  補償もせず、真相究明をしないばかりか、

  教科書からもその記述を

  消し去ろうとしていることに対して

  世界各国で批判の声が高まっている。

  よって、国会及び政府においては、

  1993年の河野洋平官房長官の談話に基づき、

  「慰安婦」問題の真相究明を行い、

  被害者の尊厳回復に努め、

  下記のとおり、

  誠実な対応をされるよう強く要望する。

  1. 政府は「慰安婦」被害の事実を確認し、

   被害者に対し閣議決定による謝罪をおこなうこと。

  2. 政府は「慰安婦」問題解決のための

   法律を作り、被害者の名誉回復と

   損害賠償をおこなうこと。

  3. 学校や社会の教育において、

   「慰安婦」問題の歴史を教え、   

   国民が歴史を継承できるようにすること。     

以上、地方自治法第99条の規定により、

意見書を提出する。

      平成20年11月7日  札幌市議会

(提出先)

 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、

 総務大臣、外務大臣、文部科学大臣

 

その後も多くの地方議会が意見書を可決しています。

内容的に重複するところは適当に省きます。

● 2010年6月22日   

  沖縄読谷村議会 意見書を可決

● 2010年9月30日   

  函館市議会 意見書を可決

● 2010月10月10日 

  京都木津川市議会 意見書を可決

● 2010年10月13日 

  大阪市会  意見書を可決

●2011年9月28日   

  埼玉県宮代町町議会 意見書を可決

 

2013年3月26日 京都府議会が意見書を決議 

       (都道府県では始めて)

1. 旧日本軍による「慰安婦」被害者に対し、

 再度調査分析を行い、必要に応じ、

 謝罪の追加、理解ある補償及び

 名誉回復を、誠実に急ぎ行なうこと。

2. 旧日本軍による「慰安婦」問題の

 真相解明を更に進め、

 人々の理解を深めるとともに、   

 世界が同様の過ちを犯さないために、

 歴史の事実と教訓の次世代への継承に取り組むこと。

     以上、地方自治法99条の規定により

     意見書を提出する。

     2013年3月26日 京都府議会議長 近藤永太郎

衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、

総務大臣、外務大臣、文部科学大臣、

内閣官房長官 宛

 

● 2013年6月26日 島根県議会の意見書

  -日本軍「慰安婦」問題への

        誠実な対応を求める意見書-

日本軍「慰安婦」問題は、女性の人権、

人間の尊厳にかかる問題であり、

その解決が急がれています。

この問題について、日本政府は

1993年「「河野談話」によって

「慰安婦」への旧日本軍の関与を認めて、

歴史研究、歴史教育によって

この事実を次世代に引き継ぐと表明しました。

その後、2007年7月には、

アメリカ議会下院が「旧日本軍が

女性を強制的に性奴隷にした」として、

「謝罪」を求める決議を全会一致で

採択したのをはじめ、オランダ、カナダ、

フィリピン、韓国、EUなどにおいても

同様の決議が採択されているところです。

また、日本政府は、本年5月31火、

国連の人権条約に基づく拷問禁止委員会より、

「公人による事実の否定、否定の繰り返しによって、

再び被害者に心的外傷を与える意図に反すること」を求める

勧告を受けるなど、

国連自由権規約委員会、女性差別撤廃委員会、

ILO専門化委員会など国連機関から、

繰り返し「慰安婦」問題の解決を

促す勧告を受けてきているところでもあります。

このような中、

日本政府がこの問題に誠実に対応することが、

国際社会に対する我が国の責任であり、

誠意ある対応となるものと信じます。

そこで政府におかれては以下のことを求めます

        記

1. 日本政府は「河野談話」を踏まえ、

 その内容を誠実に実行すること。

2. 被害女性とされる方々が

 二次被害を被ることがないよう努め、  

 その名誉と尊厳を守るべく、

 真摯な対応を行うこと

   以上、

地方自治法99条の規定により、意見書を提出しま                    

平成25年65月26日

島根県議会