朝日新聞の訂正記事と吉田清治証言

アジア女性基金
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最終更新日:2015/11/28 10:49

1994年、社会党の村山政権が誕生すると、

当時の与党だった社会党、自民党、さきがけの3党で「戦後50年問題プロジェクトチ-ム」を発足させ、

その下に「従軍慰安婦等小委員会」を設置しました。

1994年12月7日、従軍慰安婦等小委員会の第一次報告が発表されました。

*与党戦後50年問題プロジェクト従軍慰安婦等小委員会 第一次報告

                      1994(平成6)年12月7日

                      与党戦後50年問題プロジェクト

従軍慰安婦等小委員会

1 いわゆる従軍慰安婦問題への取組み

政府は、いわゆる従軍慰安婦問題に対する調査の結果、

かって数多くの慰安婦が存在したことを認めることとなった。

その実態は、慰安所が当時の軍当局の要請により設置されたものであり、

慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、

旧日本軍が直接あるいは間接に関与したものである。

慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、

その場合も、甘言、強圧による等本人の意思に反して集められた事例が数多くあり、

さらに、官憲等が直接これに加担したしたこともあったことが明らかになった。

また、慰安所における生活は、強制的な状況の下で非常に痛ましいものがあり、

いずれにしても、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけることとなったわけである。・・・・

私たちは、こうした我が国及び国民の過去の歴史を直視し、

道義を重んずる国としての責任を果たすことによって、今後こうした行為がなくなるようにしたい。

2 なぜ、幅広い国民参加の道を求めるのか

・・・本問題は、戦後50年を機会に、今日までの経緯と現実にかんがみ、

我が国としては、道義的立場から、その責任を果たさなければならない。

そのため、こうした気持ちを国民ひとりひとりにも、ご理解いただき、

分かち合っていただくために幅広い国民参加の道を求めていこうということなのである。

3 国民参加の道について

省略

1 上記目的のために、国民参加のもとで「基金」について検討する。

省略

4 政府の役割

政府としては、先の総理大臣談話等によって明らかにされた本問題への姿勢を示す意味において、

「基金」に対し、拠出を含め可能な限り協力を行うべきものとする。

 

1995年6月14日、五十嵐広三内閣官房長官は基金の構想に関する発表をし、事実上基金はスタ-トしました。

*「基金」構想と事業に関する発表

1995年6月14日

内閣官房長官 五十嵐広三

戦後50年にあたり、私どもは、我が国の過去において、

アジアなど内外の人々に耐え難い苦しみを悲しみをもたらしたことを、

改めて深く反省するところであります。

とりわけ、従軍慰安婦問題は、多くの女性に癒しがたい苦痛を与え、

女性の名誉と尊厳を深く傷つけたものであり、

私はこの機会に心からお詫びを申し上げる次第であります。

政府は、平成6年の村山総理の談話、与党戦後50年問題プロジェクトの第一次報告に基づき、

また、6月9日の衆議院本会議における「歴史を教訓に平和への決意を新たにする決議」の意をたいして、

国民の参加と政府の責任のもと、

深い償いと反省の気持ちをこめて「女性のためのアジア平和友好基金」事業を行いことと致しました。

・・・・事業を次の通り行うものとする。

1. 元従軍慰安婦の方々のため国民、政府協力のもとに次のことを行う。

(1)元従軍慰安婦の方々への国民的な償いを行なうための資金を民間から基金が募金する。

(2)元従軍慰安婦の方々に対する医療、福祉などお役に立つような事業を行うものに対し、

   政府の資金等により基金が支援する。

(3)この事業を実施する折、政府は元従軍慰安婦の方々に、

   国としての率直な反省とお詫び気持ちを表明する。

(4)また、政府は、過去の従軍慰安婦の歴史資料を整えて、歴史の教訓とする。

2. 女性の名誉と尊厳に関わる事業として、前記1.(2)にあわせ、

  女性に対する暴力など今日的な問題に対応するための事業を行うものに対し、

  政府の資金等により基金が支援する。

3.  「女性のためのアジア平和友好基金」事業に広く国民のご協力を願う「呼びかけ人」として、

  これまでご賛同を得た方々は次の通りである。

「女性のためのアジア平和友好基金」(仮称)

(呼びかけ人)(敬称略、五十音別)

注:発足当時の呼びかけ人リスト

赤松 良子    元文部大臣

芦田 甚之助   日本労働組合総連合会会長

衛藤 瀋吉    東京大学名誉教授

大来 寿子    大来元外相夫人

大鷹(山口)淑子  元参議院議員 (李香蘭の本名)

大沼 保昭    東京大学教授

岡本 行夫    国際コンサルタント

下村 満子    朝日新聞元編集委員

鈴木 健二    熊本県立劇場館長

須之部 量三   元韓国大使

高橋 祥起    政治評論家、徳島文理大学教授

野中 邦子    弁護士、全国人権擁護委員会連合会婦人問題委員長

三木 睦子

宮城 まり子   女優、ねむの木学園園長

宮崎 勇     大和総研理事長

和田 春樹    東京大学教授

 

このような内容で1995年7月19日に「女性のためのアジア平和国民基金(通称アジア女性基金)」発足しました。

しかし内容を細かく見ると「国家の道義的責任は認めるが、

法的責任はない」そして「国民から償い金を募る」という内容です。

対象となるのは、台湾、韓国、フィリピンで同時にインドネシアとオランダが医療福祉の枠で追加されました。

この基金は賛否多くの議論が噴出しました。

賛成の意見はこの内容の通りですから良いのですが、批判的な意見は

*国がきちんと責任を認めて謝罪と補償をしなければならないのに、国民や民間が主体になっている。

*支援という言葉もありますが、強姦の加害者が謝罪もしないで支援をするというのはおかしい。

*「歴史資料を整えて、歴史の教訓」も一切行なわれず、逆に教科書から消そうとしている。

当然日本の主要マスコミはほとんどこの国民基金を支持する状況でしたが、

韓国・台湾・フィリピンの被害者からは猛烈な反対が起きました。

その後「国家の道義的責任は認めるが、法的責任はない」とする日本政府の立場は変わっていません。

 

アジア女性基金から元慰安婦へお金が渡される時、総理大臣からの「おわびの手紙」が渡されました。

*元慰安婦の方々への内閣総理大臣のおわびの手紙

1996年~2007年  橋本、小渕、森、小泉の歴代総理が署名

拝啓

このたび、政府と国民が協力して進めている「女性のためのアジア平和国民基金」と通じ、

元従軍慰安婦の方々へのわが国の国民的な償いが行われるに際し、

私の気持ちを表明させていただきます。

いわゆる従軍慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、

多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題でございました。

私は、日本国の内閣総理大臣として改めて、

いわゆる従軍慰安婦として数多くの苦痛を経験され、

心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、

心からおわびと反省の気持ちを申上げます。

我々は、過去の重みからも未来への責任からも逃げるわけにはまいりません。

わが国としては、道義的な責任を痛感つつ、おわびと反省の気持ち踏まえ、

過去の歴史を直視し、正しくこれを後世に伝えるとともに、

いわれなき暴力など女性の名誉と尊厳に関わる諸問題にも

積極的にも取り組んでいかなければならないと考えております。

末筆ながら、皆様方のこれからの人生が安らかなものとなりますよう、心からお祈りしております。

                                敬具

 

アジア各地で元慰安婦が名乗り出た時、「反日的な日本人が焚きつけているのだろう」とか

「金欲しさにでたらめを言っている」等の中傷がありました。

政治家でも慰安婦は「商行為だった」等と侮蔑的な発言が相次ぎました。

政府が認めたことですらこのように文句をつけて抗議をする人がいます。

アジア女性基金はそのあたりのバランスを取ったものといえるでしょう。

女性基金は民間からお金を集めて単に見舞金を出すというもので、

実際は国の責任を逃れて民間に責任転嫁するものです。

被害者がうるさいから金をばらまいて騒ぎを収めるという考えです。

その為多くの被害者は受取りを拒否しました。

被害者が要求しているのはお金ではなく、日本政府の調査・謝罪・補償だからです。

加害者の方が一方的に金を投げて、これでいいだろうというのは世の中では通らないでしょう。

加害と被害があったとき、被害者から要求した内容に即したり交渉するのが世の中の常識です。

 

結局アジア女性基金、2007年3月に解散し、365人に「償い金」を届けたとのです。

 

国民基金は終了しましたが、問題も残りました。

アジア各地でやっとの思いで名乗り出た元慰安婦の方々の現在の境遇は様々です。

国の謝罪を伴う保証がなくても、目の前にお金をばら撒かれれば生活に困窮している人は

どうしても受け取ってしまいます。

しかも脅かしにも近い形で無理やりお金を渡したのです。

仕方なくお金を受け取ってしまった被害者、あくまでも日本政府に謝罪を要求する被害者・・・・

揺れ動く心の狭間で被害者の団体が分裂してしまった例もあります。

日本政府が中途半端なことをしたために、かえって被害者に心の負担を増やしてしまったのです。

日本の姿勢が問題をこじらせたために、アジアの各国政府は女性基金を拒否する方向で動きました。

次からはアジア女性基金を巡る該当国の対応です。

アジア女性基金のデジタル記念館の資料を参考にします。

 

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