汗のはなし・熱中症

2010年4月に書きました

 

昔はあまり耳にしませんでしたが

近年暑い夏になると「熱中症」が話題になります。

私たちの身体は自律神経の働きで

身体の内部温度を一定に保つ働きがあります。

身体の中の器官・臓器・酵素などの働きが37度前後という

割りと狭い範囲で働けるように出来ているからです。

環境が暑かったり、運動をすると

体温が上昇するので自動的に

自律神経で体温を下げようとします。

熱を下げるには輻射を避ける

(熱のある人の側によると熱い)、

伝導(冷たいものに触る)、

蒸発(汗をかく)と言った方法があります。

今回はその汗の話です。

 

汗は汗腺から出ます。

寒いときには汗腺を閉めて鳥肌をたてて汗を止め、

熱いときは汗腺を開いて汗が出るのです。

20℃のとき、水1gが蒸発すると気

化熱で0.58kcalが奪われますので、

私たちは水(汗)で熱を下げています。

身体には汗腺の数が

200万~500万個あると言われていて、

生まれたときに遺伝的にそれなりの

汗腺を持って生まれてきています。

ただせっかく出来た汗腺が十分に働くかどうかに

生後間もなくの育児が関係するらしいことが

言われ始めました。

つまり出来た汗腺を十分には働かせるためには

生後約1年(歩き始め)までに

自立神経の働きのトレ-ニングが

必要だという事なのです。

 

最近は生活環境が良くなり

エアコンがある部屋で育児をすることが多くなりました。

そうすると鳥肌が立つことも、

汗をかくことも必要がなくなります。

生まれてから脳神経が発達する大事な時期に

汗腺が働かないで済むのです。

汗腺の働きが十分でないと、

小学生や中学生になって熱いところで

スポ-ツをした時

体温調整がうまくいかないで

熱中症になることがあります。

この場合汗腺の働きが悪いので

水を飲ませても効果は無く,

強制的に熱を下げる必要があります。

最近は夏に生まれた子と冬に生まれた子で

汗腺の働きに差があることも言われています。

また体温調整は自律神経ですから、

現代のようにストレスを一杯ためた子供たちは

(大人でも同じでが)

体温調整がうまくいかないこともあるので要注意でしょう。

そして汗には塩分が含まれているので

水分補給には塩分を忘れないようにしたいものです。

やはり子供は暑いときには汗をかいたほうがよいのです。

勿論アセモ対策で清潔に保つことは当然のことです。

 

さて大人特に高齢者ですが、

自律神経の切り替えが鈍くなります。

せっかく沢山の汗腺を持っていても、

普段の生活環境が良いため切り替えが遅くなるのです。

夏を迎える前に汗をかく習慣を持つ事、

特に5月ごろからウォ-キングで

十分汗をかくようにすると、

熱中症を防げるという研究もあります。

 

マスコミでは「水分と塩分」と言いますが、

汗腺の働きが十分でない場合、水分補給だけでは汗が出ないため完全ではありません。

水分があっても汗腺が十分に働かないからです。

ク-ラ-や水等で体を直接冷やすのが効果的なことは理解できると思います。