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キーワード「きい弾」を含む投稿一覧

  • 毒ガス使用に関する軍の命令書

    2020/12/17
    9:32

    お年寄りの話を聞きますと、

    日本陸軍は勇猛果敢で強かったと言います。

    しかし中国ではどうもそうではなかったようです。

    中国側の抵抗が強く

    日本軍が負けることがたびたびあったようです。

    そこで毒ガスが使用されました。

     

    上海戦で日本軍歩兵が防毒マスクをつけて

    市街戦をしている珍しい写真がありますが、

    陸軍では苦戦を強いられた時、

    まず敵の陣地に集中的に毒ガス弾を打ち込んで、

    それから防毒マスクをつけた歩兵が攻撃し、

    苦しんでいる敵を証拠隠滅のために殺したのです。

     

    数年前の地下鉄サリン事件を思い出してください。

    あの場面で苦しんでいる人の所に

    防毒マスクをつけた兵隊が来て、

    一人一人殺すのと同じ事です。

    全て証拠を残さないようにしたため

    写真もあまりありませんが、

    多くの戦闘場面で日本軍歩兵が

    防毒マスクをして戦闘したようです。

     

    日本の毒ガスの準備は、

    将来のソ連やアメリカに対する戦争に

    備えるものでした。

    中国では実用実験の予定でした。

     

    1937年の盧溝橋事変の時には

    すでに毒ガスの準備が進んでいたので、

    どんどん使い始めました。

     

    ●1937年7月27日  

     臨参命第65号によって化学戦部隊の派遣命令が出る

    同  28日  

     臨命第421号によって、

     適時催涙筒を使用する許可が出ました

     

    その後続々と

    「適時毒ガスを使用する事」

    「極力毒ガスを使用する事」

    「毒剤等特殊資材を使用する事」

    の命令が次々と出るようになります。

    その一方で国際世論やマスコミを

    気にしていた政府・軍部は

    秘密保持に努めました。

     

    ●1938年4月11日 大陸指第110号(原文カナ)

    指示

     大陸命第39号及第75号に基き更に左の如く指示す

    1 左記範囲に於てあか筒軽迫撃砲用あか弾を使用する事を得

     (1) 使用目的 山地帯に蟠居する敵匪の掃蕩戦に使用す

     (2) 使用地域 山西省及びこれに隣接する山地地方

     (3) 使用法  努めて煙に混用し

             厳にガス使用の事実を秘匿し、

            その痕跡を残さざる如く注意するを要す

          注:バレないように注意しろという命令です

    2 別紙の如くあか弾及びあか筒を交付す

     昭和13年4月11日

    参謀総長 戴仁親王

    北支那方面軍司令官伯爵 寺内寿一殿

    駐蒙兵団司令官 蓮沼蕃殿

     

    ●1938年5月2日 大陸指第120号  

     中支那派遣軍にみどり筒使用許可の指示 

                          

    ●同年5月3日、

    「特種資材使用に伴う機密保持に関する指示」  

    北支那方面軍参謀総長の指示

    1  ガス資材の筒・収容箱の

        標記をあらかじめ削除すること 

       注:証拠になる表示は消せ

    2    使用後のあか筒は

       蒐集して持ち帰る事 

      注:証拠品を残すな

    3    教育には印刷物を使わず、

       被教育者以外の立ち入りを禁止し、

       習得事項の口外を禁止すること

      注:印刷物等の証拠を残すな

    4    使用の場合、使用地域の敵を

       為し得る限り殲滅し

       以って之が証拠を残さざる如く努めること

      注:証拠が残らないように全員殺せ

    5    住民の居住地域や外部との

       交通の便利な地点での使用を避けること

      注:目立つ所ではやるな

    6    毒がス資材を敵に委せざるを期すること 

      注:残留物を敵に残すな

    7    資材の運搬に現地住民や傭役車馬を利用しないこと

    8    毒ガスを使用したとの敵側の宣伝に対しては、

       毒煙ではなく単なる煙であると宣明すること

      注:普通の煙だといってごまかせ

     

    ●1938年8月6日 大陸指第225号  

     武漢攻略戦で、あか弾・あか筒使用許可の指示

     

    ●1938年12月2日、大陸指第345号  

      閑院宮参謀総長から中国戦線の全日本軍宛

     在支各軍は特種煙(あか筒・あか弾・みどり筒)を

     使用することとを得、

     但之が使用にあたりては

     市街地特に第三国居住地を避け、

     勉めて煙に混用し厳にガス使用の事実を秘し

     その痕跡を残さざる如く注意すべし、

     特種煙の使用並びに利用に関する

     部隊の練成は更に一層向上徹底せしむるを要す

     

    ●  1939年5月には「きい弾」の使用許可が出ます

    大陸指代452号(原文カナ)

    指示

      大陸命第241号に基づき更に左の如く指示す

     1 北支那方面軍司令官は現占拠地域内の作戦にあたり

        黄剤等の特種資材を使用し其作戦上の価値を研究すべし

     2 右研究は左の範囲にて実施するものをす

      イ、使用の秘匿に関しては万般の処置を構ず、

       特に第三国人に対する被害を

       絶無ならしむると共に

       秘匿することに関し遺憾なからしむ     

      ロ、支那軍以外の一般支那人に

        対する被害は極力少なからしむ

      ハ、実施は山西省内の僻地に於いて

        秘匿の為に便利なる局地に限定し

       試験研究の目的を達する最小限とす

      ニ、雨下ハ之を行わず

    昭和14年5月13日

    参謀総長 戴仁親王

    北支那方面軍司令官 杉山元殿

     

    ●1940年の参謀総長の指示 大陸指第699号(原文カナ)

     指示

     大陸命第439号に基づき左の如く指示す

     支那派遣軍総司令官及び南支那方面軍司令官は

     左記により特種煙及び特種弾を使用することを得

    1 厳に使用の企図及び事実を秘匿す

       特に其の対外影響を慎重に考察し

       第三国人居住地付近に使用せず

       かつ其の痕跡を残さざる如く注意す

    2 雨下ハ之を行わず

    昭和15年7月23日

    参謀総長 戴仁親王

    支那派遣軍総司令官 西尾寿造殿

    南支那方面総司令官 安藤利吉殿

     

    このような秘密命令が何度も出ています。

    さらに外務省からも

    「でっちあげて、中国側が使用したように

    宣伝すること」という通達が出されています。

    そのため、日本国民もマスコミも

    事実を知らないまま現在に至ったのです。

    ただし被害を受けた中国では

    当然分かっている事ですし、

    世界中が見ていたのです。

    世界中から非難を受けた日本は、

    それでも戦争末期まで認めようとはしませんでした。

     

    ●1944年7月15日 支那派遣軍当局の声明

     皇軍は道徳をかたく守るものであり、

     過去においてかかる事実がなかったし、

     将来においても敵が毒ガスを用いる事がなければ、

     皇軍は絶対に用いるはずがない

     

    つづきを読む

  • 中国での処理状況

    2020/08/05
    16:20

    化学兵器禁止条約で決められた

    処理期限は10年となっています。

    しかし現実には無理な為何度も延長されています。

    2013年の時点では、

    発掘されたもガス弾の移動処理に関しては5年、

    ハルバ嶺については10年を目標とされています。

     

    ●2012年4月現在の保管総数を

    「内閣府・遺棄化学兵器処理担当室」資料から見てみます。

    保管場所

    総数

    チチハル(黒竜江)

    2,115

    ハルビン(黒竜江)

    1,502

    瀋陽(遼寧)

    282

    北京

    4

    南京(江蘇)

    35,643

    長沙(湖南)

    64

    龍井(吉林)

    57

    ハルバ嶺(吉林)

    4,629

    通化(吉林)

    13

    肇慶(広東)

    67

    大連(遼寧)

    8

    南寧(広西荘族自治区)

    5

    天津

    3

    甘粛(山西)

    229

    洛陽(河南)

    1

    周口(河南)

    53

    唐山(河北)

    46

    石家荘(河北)

    1,333

    武漢(湖北)

    44

    広州(広東)

    245

    寧安(黒竜江)

    342

    鶏西(黒竜江)

    40

    伊春(黒竜江)

    347

    チャムス(黒竜江)

    99

    碾子山(黒竜江)

    261

    北安(黒竜江)

    43

    バインノ-ル(内モンゴル)

    1

    ホロンバイル(内モンゴル)

    1

    安慶(安黴)

    1

    合計

    47,478

     

     

    2013年5月10日と12月19日に

    「内閣府・遺棄化学兵器処理担当室」において

    質疑応答が行なわれました。

    その結果を簡単に整理します。

    ◎中国南部

      南京 2012年6月に36,000発の爆弾処理が完了

         1997年に事業開始後15年かかった。

         杭州、安慶、合肥などから移動したものも含む

         廃棄物の処理は進行中

         残留ヒ素の処理は未解決

      武漢 処理が進行中

         保管庫や道路整備は完了

         2013年中に250発処理の予定

      広州 処理地の環境整備に手間取っている

         借地や処理予定地が確保されず協議中

    ◎中国北部

      石家荘 2012年末試験処理終了

          1,500発の処理に2013年5月着手

          2013年中に1,411発処理完了予定

      天津、北京、大同等からも移送する予定

          2014年夏に終了予定

      ハルピン かなり大量に処理する予定

             処理地等の選定で現在日中で協議中

      ハルバ嶺 遺棄毒ガス弾が最も大量に蓄積されているといわれていたが、

      発掘が進むにつれて通常弾は意外に多く、

      毒ガス弾は40万発を下回ると思われる。

           2012年末試験的発掘開始

           2013年9月以降本格発掘開始

      吉林省蓮花泡、黒龍江省ジャムス等は

      調査中で掘って見なければ分からない。

     

    質疑応答を簡単に整理しましたが、

    次に政府が発表した実際の処理内容を表にしました。

    内閣府大臣官房遺棄化学兵器処理担当室の資料です

       

    ●平成24年12月までに外務省調査で回収された分も含め、

     約5万発の化学砲弾等を発掘、回収しました。

     

    年月

    場所

    内容

    第1回

    平成12年9月

    黒龍江省北安市

    きい弾を中心に897発を発掘、回収

    第2回

    平成13年12月

    江蘇省南京市

    あか筒、みどり筒を中心に9,419発を発掘、回収

    なお、同地は前年の外務省現地調査によって17,612発

    発掘、回収されていたもの

    第3回

    平成14年9月

    黒龍江省孫呉県

    あか弾、きい弾等を中心に377発を発掘、回収

    第4回

    平成15年9月

    河北省石家荘市

    きい弾を中心に47発を発掘、回収

    第5回

    平成16年6月

    黒龍江省チチハル市

    きい弾を中心に542発を発掘、回収

    第6回

    平成16年8月

    河南省信陽市

    あか弾を中心に67発を発掘、回収

    第7回

    平成16年9月

    黒龍江省安寧市

    あか弾、きい弾等を中心に89発を発掘、回収

    第8回

    平成17年7月

    広東省広州市

    あか弾を中心に13発を発掘、回収

    第9回

    平成17年9月

    黒龍江省伊春市

    あか弾、きい弾等を中心に281発を発掘、回収

    第10回

    平成17年11月

    吉林省蓮花泡

    旧日本軍の可能性のある374発の砲弾等を発掘、回収

    第11回

    平成18年6月

    吉林省蓮花泡

    旧日本軍の可能性のある231発の砲弾等を発掘、回収

    第12回

    平成18年7月

    黒龍江省安寧市

    あか弾、きい弾等を中心に210発を発掘、回収

    第13回

    平成18年8月

    黒龍江省綏化市望奎県

    発見されハルビン市に輸送された砲弾等について、

    あか弾、きい弾等を中心に697発を回収

    第14回

    平成18年9月

    吉林省蓮花泡

    旧日本軍の可能性のある418発の砲弾等を発掘、回収

    第15回

    平成19年2月

    広東省広州市

    あか弾、きい弾等を中心に97発を発掘、回収

    第16回

    平成19年3月

    江蘇省南京市

    旧日本軍の可能性(あか筒)のある2,701発の砲弾等を発掘、回収

    第17回

    平成19年9月

    吉林省蓮花泡

    旧日本軍の可能性のある729発の砲弾等を発掘、回収

    第18回

    平成20年3月

    広東省広州市

    旧日本軍の可能性のある7発を発掘、回収

    第19回

    平成20年9月

    吉林省蓮花泡

    旧日本軍の可能性のある419発を発掘、回収

    第20回

    平成20年11月

    吉林省蓮花泡

    旧日本軍の可能性のある379発を発掘、回収

    第21回

    平成21年7月

    吉林省蓮花泡

    旧日本軍の可能性のある549発を発掘、回収

    第22回

    平成21年9月

    吉林省蓮花泡

    旧日本軍の可能性のある103発を発掘、回収

    第23回

    平成22年8月

    吉林省蓮花泡

    旧日本軍の可能性のある156発を発掘、回収

    第24回

    平成22年9月

    吉林省蓮花泡

    旧日本軍の可能性のある100発を発掘、回収

    第25回

    平成22年11月

    吉林省蓮花泡

    旧日本軍の可能性のある75発を発掘、回収

    第26回

    平成23年3月

    広東省広州市

    旧日本軍の可能性のある29発の砲弾等を発掘、回収

    第27回

    平成23年5月

    広東省広州市

    旧日本軍の可能性のある8発の砲弾等を発掘、回収

    第28回

    平成23年7月

    吉林省蓮花泡

    旧日本軍の可能性のある29発の砲弾等を発掘、回収

    第29回

    平成23年8月

    吉林省蓮花泡

    旧日本軍の可能性のある37発の砲弾等を発掘、回収

    第30回

    平成23年9月

    吉林省蓮花泡

    旧日本軍の可能性のある59発の砲弾等を発掘、回収

    第31回

    平成23年11月

    吉林省蓮花泡

    旧日本軍の可能性のある105発の砲弾等を発掘、回収

    第32回

    平成23年9月

    黒龍江省伊春市

    旧日本軍の可能性のある76発の砲弾等を発掘、回収

    第33回

    平成23年10月

    黒龍江省ハルビン市

    旧日本軍の可能性のある49発の砲弾等を発掘、回収

    第34回

    平成24年4月

    広東省広州市

    旧日本軍の可能性のある33発の砲弾等を発掘、回収

    第35回

    平成24年6月

    吉林省蓮花泡

    旧日本軍の可能性のある314発の砲弾等を発掘、回収

    第36回

    平成24年7月

    吉林省蓮花泡

    旧日本軍の可能性のある357発の砲弾等を発掘、回収

    第37回

    平成24年8月

    吉林省蓮花泡

    旧日本軍の可能性のある205発の砲弾等を発掘、回収

    第38回

    平成24年9月

    吉林省英安林場

    旧日本軍の可能性のある171発の砲弾等を発掘、回収

    第39回

    平成24年11月

    吉林省蓮花泡

    旧日本軍の可能性のある93発の砲弾等を発掘、回収

    2014年12月23日、

    内閣府大臣官房遺棄化学兵器処理担当室から

    最新の発表がありました。

    12月26日から湖北省武漢市と

    その周辺に保管されていた

    約120発を年内に処理するとのことです。

    南京市の約35,000発の処理が

    2013年8月に終了した為

    そこで使用していた移動式処理施設を移転する方針です。

     

    ●次の図は毒ガス弾の処理の地図です。

    政府発表の地図に「ABC企画委員会」で数量を書き込んだものです。

     SCN_0088 毒ガス処理

     

    ●処理にかかる費用には毎年何100億もかかっています。

     2011年予算 220億

     2012年予算 203億

     2013年予算 240億

     

    今後はハルバ嶺を始め

    他の地区の処理が増える為

    更に増えるかもしれません。

    現在中国との間がキクシャクしていますが、

    政府間では少しずつ日中協力して

    毒ガス弾処理を進めていることは事実です。

    マスコミはもう少し国民に

    知らせるようにする必要があると思います。

     

    つづきを読む

  • 晋東作戦での迫撃砲第5大隊の記録

    2020/08/03
    11:08

    1939年7月~8月の晋東作戦では迫撃砲第5大隊は

    北支那方面軍第1軍第20師団歩兵第77連隊に配属され

    作戦を行ないました。

    その第77連隊の1939年の記録です。

    歴史研究家の松野誠也さんが発見した資料を参考にします。

         (月刊誌世界 2019年8月号から)

     

    ●歩77作命第703号     

    藤室部隊命令         

    7月3日14時0分/於磨頭村部隊本部

    1.旅団は本作戦間、大交鎮、張馬村間に於て

       甲号資材を使用し其作戦上に及ぼす価値を研究す

    注:甲号とは「きい弾」」などのびらん性毒ガス

    2.藤室部隊は作戦上支障なき限り右趣旨に基き研究す、

       よって甲号研究に伴う別紙第一注意事項を厳守すべし

    3.各大隊は小銃中隊毎に長以下10名の発煙班を編成し

       置き所要に応じ大隊長に於て直轄使用すべし

    4.右甲号資材は別紙第2の通り配布す

        部隊長藤室大佐

        下達法   印刷配布

     

    ●歩77作命第703号別紙第一     

      甲号研究に伴い諸注意事項

    1.本研究に関連する命令通報報告等は総て

     「甲号」の呼称を用いて其の内容を秘匿すると共に、

     其の重要なる書類は連絡者を以てする託送に依り

     機密漏洩の防止に努めるものとす

    2.甲号使用の事実の秘匿に関しては

     万全の処置を講ずるものとす、

     之がため支那軍隊以外の

     一般支那人に対する被害を極力なからしめ、

     特に第三国人に対する被害を絶無ならしむると共に、

     彼等に其の使用の事実を厳に秘匿するものとす

    3.甲号使用に関し報告すべき事項左の如し

       (報告用紙は後日公布す)

     ①戦闘地名及戦闘年月日

     ②使用時刻、天候、気象

     ③使用目的及甲号資材射撃集中状態

     ④使用資材の種類及数量

     ⑤戦闘経過の概要(戦闘前の態勢、

      使用に依る戦闘経過、成果の利用)

     ⑥我彼損害の概数、特に敵の死傷者の状態

     ⑦効果に関する所見

     ⑧各種資材に関する意見及其他

    以下及び別紙二は省略

     

     

     

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  • 毒ガスの実戦使用

    2020/08/03
    10:05

    侵略戦争初期の1937年8月から、

    毒ガスの筒や弾丸、

    爆弾を使用してはいましたが、

    当初は主として催涙ガスや

    くしゃみ性ガスを使用していました。

     

    ●北支那方面軍第一野戦化学実験部の要報 1937年9月

     ・・・・支那軍に対するあか剤の使用は

     極めて有効なり・・・

     

    しかし9月になると早くも

    猛毒のきい弾(イペリット)を使用し始め、

    その後は徐州、山西、武漢と、

    どんどん毒ガス戦をエスカレートさせてきました。

    特に武漢作戦では大量に使用するように

    大本営から命令が出されました。

    中支那派遣軍の資料によれば、

    そのために準備された毒ガス弾は

    30万発(充填された毒ガスは約300トン)で、

    実際に使用したのは53,000発でした。

     

    ●中支那派遣軍の総括報告

     ・・・・武漢会戦では実施総回数は

     375回を下らず、その8割は成功し・・・・

     

    1938年の終り頃になると戦線が拡大し過ぎ、

    補給が追い付かず、悪天候、病気、栄養不良等の為、

    日本軍はかなり弱体化しました。

    それに中国軍の抵抗も重なってかなり苦戦を強いられ、

    負ける戦闘も多くなります。

    そのためますます毒ガスに頼るようになってきました。

    使用する毒ガスの種類も増えました。

     

    ●1939年5月13日 大陸指第452号

     ・・・・きい剤等の特種資材を使用し・・・・

     

    それ以降は「きい」のイペリットや

    ルイサイトをどんどん使用するようになり、

    戦闘にかろうじて勝つようになります。

     

    ● 歩兵第65連隊第11中隊と第12中隊の陣中日誌から

     1939年の襄東会戦での部分です

    「戦闘要報」

      江口隊命令 7月26日14時於漢川

     1    密偵報に依れば脈旺嘴付近に在る

        128師大隊長周幹臣は

        部下主力(約7百、砲2門)を以て

        近時盛んに跳梁を試みつつあるものの如し。

     2 大隊は一部を以て該敵情捜索し、

        要すれば敵を求めて攻撃し之を捕捉殲滅せんとす。

     3    第11中隊は中隊の主力、

        今井少尉の率いる機関銃1箇中隊、擲弾筒1箇分隊(3筒)、

        小行李より、赤筒1駄を併せ指揮し、

        本26日24時漢川出発

        先ず分水嘴に至り当地警備隊を其の指揮下入れ

        脈旺嘴官山付近の敵情並びに地形を偵察すべし。

    「日誌」から

     14時より下士官集合教育西南門外において

     矢吹少尉教官、夜間より払暁にわたり陣地攻撃。

     対抗部隊第12中隊、

     個人空砲30発防毒面携行、

     赤筒および緑筒を使用す。(8月17日)

     

    毒ガスの使用は圧倒的に中国で行われていますが、

    東南アジアでも使用されたことが

    アメリカ軍の押収資料にあります。

    吉見義明教授が確認したものです。

     

    ● 守備隊参考綴  

       アドミラリティ諸島のロスネグロス島で押収(原文カナ)

     住民からの情報を得る方法について

     ・・・・検索は恫喝的手段にして

     赤筒又はみどり筒を使用し、

     或いは部落の焼却、住民の鏖殺を宣言し

     又空包実包を使用する等各種の手段あり・・・・

     赤筒の使用に関しては全住民

     (壮年の男子のみ老人婦女子を除く)を

     適当なる一室に入れ赤筒を炊き

     適当なる時期に扉を開放し

     全住民(男子)を室外に出し

     新鮮なる空気を吸入せしむべし 

     量及び時間を誤りては犠牲者を出す怖あるが故なり 

     (6~8坪の室に於て赤筒1本にて夏季3分間 

     其の他約4分間迄は可なり) 

     之を3~4回(3~4回以上の赤筒使用は危険)反復す・・・・

      注:住民から情報を得るために

        毒ガスを使って脅迫したのでしょう

     

     

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  • 陸軍の毒ガス生産量

    2020/07/31
    16:51

    毒ガスは、地下鉄サリン事件のように

    ガスそのものを撒いたりして使用する事もありますが、

    多くは筒に入れて火をつけて噴射したり、

    爆弾のように弾丸として使用します。

    生産量としては毒ガスその物の生産量が

    何千トンなのかという見方と、

    毒ガスを充填した弾丸や筒が

    何万発あるのかという見方がありますので、

    集計はかなり難しく重複します。

    海外や民間会社の生産もあるし、

    何より最初から最後まで

    秘密裏に行なわれた事ですから不明なことだらけです。

    そして敗戦時にガス弾をどうしたのか?

    どこに埋めたのか、置いてきたのか、

    湖や海に沈めたのか・・・・

    正確なところは分かりません。

    生産量ですが2つの資料があります。

    日本陸軍造兵廠歴史と

    米軍押収資料です。

    ここではまず陸軍造兵廠歴史を見てみます。

     

    ●主要ナル兵器其ノ他物品ノ竣工数量(毒ガス兵器関連のみを抜粋)

    陸軍造兵廠歴史(1932年~39年)と陸軍兵器廠歴史1941年

    年度

    名前

    数量

    1932年(昭7)

    38式野砲試製あか榴弾弾丸

    43,200

    41式山砲試製92式あか榴弾弾丸

    10,800

    38式野砲試製92式きい弾甲弾丸

    43,200

    41式山砲試製92式きい弾甲弾丸

    10,800

    14年式10糎加農試製92式きい弾甲弾丸

    5,120

    1933年(昭8)

    改造38式野砲試製92式きい弾甲弾薬筒

    33,137

    改造38式野砲試製92式あか弾甲弾薬筒

    33,138

    41式山砲試製92式きい弾甲弾薬筒

    8,212

    41式山砲試製92式あか弾甲弾薬筒

    8,213

    89式みどり筒甲

    60,000

    89式みどり筒乙

    4,000

    93式代用あか筒

    5,900

    4年式15糎榴弾砲試製92式きい弾薬筒

    11,034

    1934年(昭9)

    改造38式野砲92式きい弾弾薬筒

    8,688

    改造38式野砲92式あか榴弾弾薬筒

    8,437

    41式山砲92式きい弾弾薬筒

    11,363

    41式山砲92式あか榴弾弾薬筒

    11,362

    90式野砲92式きい弾弾薬筒

    22,500

    90式野砲92式あか榴弾弾薬筒

    18,300

    4年式15糎榴弾砲92式きい弾丸

    11,287

    4年式15糎榴弾砲93式尖鋭あを榴弾弾丸

    3,648

    4年式15糎榴弾砲93式尖鋭あか榴弾弾丸

    3,648

    試製92式10糎加農92式きい弾弾丸

    3,420

    93式代用あか筒

    18,590

    14年式拳銃みどり弾

    1,000

    89式みどり棒

    8,540

    きい1号

    57,230

    きい2号

    3,320

    あか1号

    5,300

    みどり1号

    80

    1935年(昭10)

     

     

    4年式15糎榴弾砲92式尖鋭きい弾甲薬筒

    1,000

    4年式15糎榴弾砲93式尖鋭あを榴弾薬筒

    15,000

    92式50キロ投下きい弾甲

    1,000

    89式みどり筒甲

    19,177

    89式みどり筒乙

    10,724

    89式みどり棒

    13,336

    試製93式あか筒

    1,000

    93式代用あか筒

    4,591

    きい1号

    2

    きい2号

    4

    あか1号

    21

    89式みどり筒甲

    2,452

    89式みどり棒

    57

    93式代用あか筒

    40

    1936年(昭11)

     

     

    14式拳銃90式みどり弾弾薬筒

    3,000

    94式軽迫撃砲試製95式きい弾弾丸

    24,510

    94式軽迫撃砲試製95式あか弾弾丸

    36,870

    91式10糎榴弾砲93式尖鋭あか榴弾弾丸

    80

    4年式15糎榴弾砲93式尖鋭あを榴弾薬筒

    3,500

    4年式15糎榴弾砲93式尖鋭あか榴弾弾丸

    3,000

    92式50キロ投下きい弾甲

    990

    89式みどり筒甲

    53,582

    89式みどり筒乙

    6,422

    89式みどり筒丙

    3,082

    89式みどり筒棒

    8,777

    試製93式あか筒

    3,100

    きい1号甲

    3,000

    きい1号乙

    100

    きい1号精製乙

    12,000

    きい2号

    7,000

    あお1号

    100

    あか1号

    3,000

    89式みどり筒甲

    2,834

    89式みどり筒乙

    100

    89式みどり棒

    100

    航空機弾薬92式50キロ投下きい弾甲

    10

    1937年(昭12)

     

     

     

    改造38式野砲92式あか弾弾薬筒

    10,000

    94式山砲92式きい弾甲弾薬筒

    4,705

    94式軽迫撃砲95式あか弾弾薬筒

    6,125

    94式軽迫撃砲95式きい弾弾薬筒

    6,000

    14年式拳銃みどり弾

    500

    89式催涙筒(甲・丙)

    123,900

    試薬93式あか筒

    103,860

    きい1号甲

    29,985

    きい1号乙

    60,000

    きい1号丙

    4,800

    きい精製1号乙

    30,000

    きい2号

    150,000

    あか1号

    31,500

    あお1号

    1,000

    みどり1号

    100

    14年式10糎加農93式尖鋭あか榴弾弾丸

    500

    94式50キロ投下きい弾甲

    10

    1938年(昭13)

     

     

    94式軽迫撃砲95式あか弾弾薬筒

    73,100

    97式15キロ投下あか弾

    3,044

    97式15キロ投下きい弾

    1,380

    97式15キロ投下あおしろ弾

    931

    あか剤

    120,750

    きい剤

    329,260

    1939年(昭14)

     

    94式山砲92式あか弾弾薬筒(除てん実物)

    8,700

    改造38式野砲92式あか弾弾薬筒(除てん実物)

    44,000

    94式軽迫撃砲95式あか弾弾薬筒(除てん実物)

    111,910

    94式軽迫撃砲95式きい弾弾薬筒(除てん実物)

    33,330

    98式小あか筒

    184,020

    97式中あか筒

    6,000

    試製発射あか筒

    109,370

    きい1号丙

    224,000

    きい2号

    144,840

    あか1号

    67,300

    みどり1号

    2,500

    97式15キロ投下あか弾

    1,693

    97式50キロ投下きい弾

    1,494

    97式50キロ投下あをしろ弾

    69

    41式山砲92式あか弾弾薬筒

    10

    41式山砲92式きい弾弾薬筒

    10

    41式山砲92式あをしろ弾弾薬筒

    10

    4年式15糎榴弾砲93式あか弾弾薬筒

    10

    4年式15糎榴弾砲93式きい弾弾薬筒

    10

    4年式15糎榴弾砲93式あをしろ弾弾薬筒

    10

    試製98式発射あか筒

    50

    あか筒

    200

    1941年(昭16)

     

     

    41式山砲92式あか弾弾薬筒

    5,000

    94式軽迫撃砲95式あか弾弾薬筒

    160,170

    94式軽迫撃砲95式きい弾弾薬筒

    28,855

    94式山砲92式あか弾弾薬筒

    38,100

    94式山砲92式きい弾弾薬筒

    35,940

    改造38式野砲92式あか弾弾薬筒

    70,634

    改造38式野砲92式きい弾弾薬筒

    55,310

    91式10糎榴弾砲93式尖鋭あか弾薬筒共

    29,653

    91式10糎榴弾砲93式尖鋭きい弾薬筒共

    30,069

    4年式5糎榴弾砲93式尖鋭あか弾薬筒共

    4,841

    4年式5糎榴弾砲93式尖鋭きい弾薬筒共

    23,344

    98式小あか筒

    107,000

    試製大あか筒

    20,100

    きい1号甲

    297,300

    きい1号乙

    207,000

    きい1号丙

    244,600

    きい2号

    289,000

    あか1号

    346,000

    あを

    600

    ちゃ

    86,734

    みどり

    500

    100式50キロ投下きい弾

    3,027

    100式50キロ投下あおしろ弾

    1,515

    100式50キロ投下ちゃ弾

    2,980

    注:陸軍の資料では1940年度分と

      1942年度以降の分が発見されていません。

      一号、十四年式、十糎等は1号、14年式、10糎としました。

      数量の単位は 毒ガス弾は「発」

                  毒ガス筒は「個」

                  毒ガス剤は「キロ」

     

    以上は日本陸軍の資料です。

     

     

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