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キーワード「一般通貨と交換できない不換券」を含む投稿一覧

  • 未解決の軍票

    2020/07/20
    16:21

    戦争になると当然の事ですが

    軍事費がどんどん増えてきます。

    日本のように広大な中国や東南アジアを占領し、

    維持するには大変な金額を必要とします。

    食糧や軍需物資を調達するためです。

    日本のお金つまり「円」を持っていっても

    占領地では通用しないし、

    第一本国の通貨が不足して混乱してしまいます。

    その為本国経済と戦地(占領地)の経済を

    切り離すために発行された特殊な紙幣が軍票です。

    正式には軍事手票と言われます。

    日本では西南の役の時に

    西郷隆盛の軍隊が発行した「西郷札」が有名です。

    第2次世界大戦では交戦国のほとんどが発行しました。

    戦後も沖縄ではアメリカによって

    「B円」という軍票が使われていました。

    参考までにB円の写真です。

      寸法は78ミリ×65ミリです。

    表

    裏

     

    軍票は本来戦争が終われば、

    元の一般通貨と交換するべきものです。

    日露戦争の時は戦後回収し交換しています。

    日露戦争で日本政府が発行した軍票

    (注:当時は軍用切符といった)は1億4,841万円でした。

     

    中国侵略の1937年10月、

    日本は中国で軍票を使う事を閣議決定しました。

    そして11月、南京攻略戦で柳川兵団(第10軍)が

    杭州湾に上陸した頃から本格的に使用されました。

    その後は当時中国内で信用のあった

    国民政府の「法幣」と競争を始めました。

    つまり武力だけではなく貨幣戦争もあったのです。

     

    ●法幣 

     重慶にあった蒋介石国民党政権が発行した貨幣で、 

     中国銀行券、中央銀行券、交通銀行券の総称です。 

     当然のことながら中国人からは信用がありました。

     

    1941年11月20日、

    大本営政府連絡会議で決定された

    「南方占領地行政実施要領」では、

    「通貨は勉めて従来の現地通貨を

    活用流通せしむるを原則とし、

    やむを得ざる場合にありては

    外貨標示軍票を使用す」という方針が掲げられました。

    実はそれ以前にひそかに策定されていた

    「南方外貨表示軍用手票取扱手続」では、

    どの地域でどの軍票を使うかが決められ、

    印刷の準備がされていたのでした。

    ●地域と軍票

     蘭印(インドネシア)    ギルダ-表示

     英領マラヤ、英領ボルネオ  海峡ドル表示

     フィリピン         ペソ表示

     英領ビルマ         ルピ-表示(少し後から決定)

     

    中国や香港では「円軍票」が使われましたが、

    東南アジアでは現地通貨の表示とされました。

    その理由は中国と違って、

    東南アジアはお金も物資も現地で自活するようにし、

    独立国として大東亜共栄圏の一員にしようとしたからです。

     

    ●南方経理勤務に関する指示 1941年11月26日

     戦地使用通貨の大理想は、

     戦地既存通貨制度をそのままに軍の手に生け捕りにし、

     これにより完全無欠に金も物も現地自活の途を講ずるに在り。・・・・

     軍票は作戦初期、軍において支払手段なき時期における応急通貨たる・・・・

     

    そして開戦と同時に日本軍は

    軍票を携帯して侵攻していったのです。

     

    ●開戦後の「対策要綱」

     ◎占領当初は現地通貨と等価の軍票を流通させること

     注:インフレを起こすのでむやみに発行せず、

       現地の通貨と同じ額だけ、という意味です。

     ◎軍票処理機構を整備すること

     注:軍票の発行と回収の組織をきちんとすることです

     ◎占領が進むと同時に現地発券制度を把握して、

      現地通貨で軍票の回収を行なうこと

     

    これらから判断すると、

    当初は軍票の発行は一定限度とし、

    軍政が進んだら軍票は中止して回収し、

    現地通貨に戻す方針だった事が分かります。

     

    日本軍では日清戦争、日露戦争、

    中国への侵略戦争と軍票を発行し続けました。

    軍票のタイプを「甲号」「乙号」「ろ号」などと分けていました。

     

    アジアではどの様な軍票を発行したのか、

    国別に見てみます。

    ●マラヤ・スマトラ「に号」

     マラヤは海峡ドル軍票、

     スマトラはギルダ-軍票を共に円と1:1で決めましたが、

     中間のシンガポ-ルでは実際には

     海峡ドルとギルダ-の交換比率は

     1:0.6だったため通貨の混乱をきたし、

     1943年軍はスマトラを分離しました。

    ●フィリピン「ほ号」

     1942年2月から現地のペソ貨幣と

     ペソ軍票のみを流通させました

    ●ビルマ「へ号」

     当初、マラヤの海峡ドル軍票を流通させ、

     後からルピ-軍票を発行しました

    ●仏印(ベトナム)

     円表示の軍票を使用し、

     1945年8月の発行残高は2億6,000万円でした

    ●ジャワ      

     当初はギルダ-軍票で、

     後からルピア軍票に変わりました。

    ●北ボルネオ    

     海峡ドル軍票

    ●オランダ領インドシナ「は号」

     ギルダ-(グルテン)軍票

    ●ニュ-ブリテン(ラバウル)、ニュ-ギニア「と号」

     オ-ストラリア・ポンド軍票

     

    実際の軍票がどの様なものだったのでしょうか? 

    海峡ドルの写真です。

     

    1942年3月には、

    政府出資による南方における

    中央銀行的な役割をする南方開発金庫が設立されました。

    ●各占領地に作られた銀行    

     満州    満州中央銀行

     華北    中国連合準備銀行

     華中    中央儲備銀行

     東南アジア 南方開発金庫

     

    南方開発金庫は発券機能があり、

    新しい通貨「南発券」を発行しました。

    正式には金庫券といいます。

    地域別にバラバラに軍票を出すと

    色々と不都合が生じるため

    統一した貨幣が必要だったからです。

    しかし実質は従来の軍票と変わらないものでした。

     

    本来軍票の発行はインフレにならないように、

    現地の通貨の範囲内で印刷し慎重に発行するべきでした。

    しかし日本軍は資源の調達を急ぎ、

    戦争を進めるため無制限に発行するようになりました。

    しかも一般通貨と交換できない不換券でした。

    そのためインフレが起きると

    更に発行するという悪循環に陥ったのです。

    その上に「南発券」まで発行したのですから

    通貨は大膨張してしまいました。

       

    ●南方開発金庫券発行要領 昭和18年3月 

         大東亜大臣達 原文カナ

    第1条 南方開発金庫券は、

         次の通貨単位名称の南方開発金庫券(以下金庫券と称す)を、

        夫々の地区ごとに発行すべし       

         「ドル」(弗)      馬来及び北「ボルネオ」地区

         「ペソ」         比島地区

         「グルデン」(盾)      東印度地区

         「ルピ-」(留比)      緬甸地区

         「ポンド」(磅)    豪州地区(委任統治地区を含む)

    第2条   金庫券の発行に付いては

        大東亜大臣の定むる金庫券発行計画に拠るべし

    第3条   金庫券の種類及び様式は外貨軍票と同一とす

          付則

    第10条   金庫券の発行は昭和18年4月1日よりこれを実施すべし

    第11条    既発行の外貨軍票に付いては

        国庫にたいする整理の関係を除き

        凡て金庫券として取り扱うべし

     

    「軍票に関する証言」

    ●今日出海 「山中浪人-私は比島戦線の浮浪人だった」から

        軍票に関して

     軍票に対する不信用は

     日増しに増大しているのに、

     軍はマニラ新聞の印刷機を始め、

     軍管理のあらゆる印刷所を動員して軍票を製造していた。

     昭和19年の秋から3~4ケ月間に

     50億余の紙幣を印刷したので、

     通貨はハチ切れるばかりの膨張を示した。

     そのために物価はこの3年間に約100倍に騰貴した。

    ●村田省蔵の回想録より 当時フィリピン特命全権大使

     戦時財政上、もとより止むを得ざるに

     出たるものなりと言えども、

     何等の裏付なくして

     無制限に軍票を発行せば、その価値の低下を見、

     物価の騰貴を誘致し、

     ついには悪性インフレ-ションを導く事は当然なり・・・・

     

    一体軍票はどの位発行されたのでしょうか?

       南発券を含めた東南アジアの軍票   194億6,822万円

       中国で発行した支那事変軍票       25億1,646万円

             合計          219億8,468万円

     

    現在の貨幣価値から考えると

    大変な金額の軍票を発行したのです。

    さらに中国の占領地に作った銀行では、

    華北では連銀券、

    華中では儲備銀行券という軍票でなく

    通貨を発行していました。

    その両方の通貨の合計はなんと6,181億500万円です。

    この全部の合計6,400億円以上の残高が

    日本の責任である事は当然でしょう。

    しかし日本はその軍票や通貨をそのままにして戦争に負けました。

    敗戦後、連合国総司令部(GHQ)最高司令官

    マッカ-サ-の覚書に基づいて、

    大蔵省は一切の軍票及び占領地通貨は

    無効とする旨声明を出しました。

    つまり放り出したのです。

     

    ●日本帝国大蔵省声明  昭和20年9月16日 原文カナ

     ・・・・日本政府及び陸海軍の発行せる

     一切の軍票及び占領地通貨は無効且つ無価値とし、

     一切の取引において之が授受を禁止す

     

    アジアの人々は戦争で人的な被害を受けた上に、

    物資とお金を収奪され、

    軍票というただの紙切れを残されたのです。

    軍票を残された国々はどの様に対処したのでしょうか?

     

     中国       国民党政府が中国の通貨と交換

     仏印(ベトナム)  流通量が少なかったため放置

     香港       英国が焼却したが、

              その残りの約12億円は現在でも放置

     マラヤ      焼却されたが、住民の不満が強かったため

              1人当り20ドルを支給した

     フィリピン    ほとんど焼却

     インドネシア   戦後も流通、焼却、新ギルダ-と交換

     

    このように国によって色々な対処がされましたが、

    いずれにしても日本政府は責任を取っていません。

    色々ある戦後処理の大きな問題の一つとして残っています。

     

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