皮膚のおはなし

2010年9月に書きました

 

 

若くてもお年でも皮膚(お肌)には

色々気を使うようです。

化粧、冬の保湿、夏の紫外線対策・・・・色々です。

皮膚の一番外側は表皮と言われますが、

更に何層かに別れています。

一番奥のある基底細胞(表皮細胞)が

分裂しながら少しずつ表面に移動し、

最後に細胞としての役割を終え(死ぬ)、

核を失って角質層になります。

角質層には天然の保湿成分や細胞間脂質が

詰まっていて、

表面には汗・皮質・垢・免疫物質などが存在します。

この角質層はとても丈夫で

全身を覆っているバリアです。

ここでアレルギ-物質や微生物を防いているのです。

基底膜で出来た皮膚の細胞がだんだん

表面に上がってきて垢として脱落すのには

28日から40日くらいかかります。

つまり特別の病気で無い限り

28~40日我慢すると新しい細胞が

表面に来るので皮膚は元通りに治るということです。

表面の角質は垢として自然に脱落します。

表皮細胞として生まれ垢として脱落する。

これが自然のサイクルです。

角質層の隙間にも角質層自身にも

多くの天然保湿成分が含まれます。

ところが年をとるとこれらの

保湿成分が少なくなってきます。

すると角質はその分自分自身の

層を厚くしてバリア機能を保とうとします。

若い人と比べて年寄りの皮膚が硬くなるのはそのせいです。

入浴だけでも天然保湿成分は膨潤し溶出しますし、

あまり石鹸でゴシゴシ洗うと

バリアとしての角質は剥がれ落ちます。

その上年寄りは保湿成分が減っていますから

乾燥肌になってしまいます。

そうすると通常は保湿剤や

ステロイド外用剤が使われます。

保湿剤そのものが化学物質であることが多いので

要注意ですが、

特にステロイド剤は逆に皮膚病を悪化させるとして

最近問題になっています。

 

最近問題になっているアトピ-性皮膚炎は学会の

診療ガイドラインでは

ステロイド外用薬が第一次選択になっていますが、

今年3月全国の7人の皮膚科医が

「ステロイド依存やリバウンドに関して

きちんとガイドラインに記載するべき」との

要望書を出しています。

 

では年寄りの皮膚はどのように

守ったら良いのでしょうか?

◎腋や陰部その他アポクリン汗腺からの汗は

 臭いますが、基本的に汗は臭いません。  

 微生物が発生すると臭うので、

 衣類をこまめに取り替える。

◎垢は無理して取らなくても

 自然に脱落して下着に着くので、

 下着をきちんと交換する

◎石鹸をあまり使わない。

 使っても手でさっと洗うくらいにする。    

 風呂に入るのは人間だけです。

◎ボディソ-プ(合成界面活性剤)は使用しない。

◎入浴のあとは充分に乾燥させる。

◎可能な限り保湿剤は使わない。

 人間以外は使用しません。

 

これらはある老人グル-プホ-ムで実践している事です。

その結果老人施設特有の臭いがなくなったそうです。

イヤな言い方ですが、

加齢臭と言う言葉が流行っています。

皮膚科の領域では加齢臭は存在しないそうです。